皆さん、こんにちは。
インド及びインド周辺国統括の小谷野勝幸です。
今回は、ムンバイにおけるインフラ整備の遅延と前回の続きである
「新会社法・新土地収用法(その3)について」を紹介していきます。
現在、周知の通りデリー・ムンバイ間産業大動脈構想が、日印政府及び
多くの日系企業も支援に参加しています。
先日双日も施設工事を1100億円で受注しています。
その一方で、ムンバイ都市内では慢性的な交通渋滞が未だ継続しています。
このインフラ整備状態は、デリーやバンガロール、ハイデラバード等の
インド国内他大都市と比較し遅れ気味となっています。
特に2,500億ルピー(3,750億円)投資しているカバをモチーフとした
モノレールプジェクトは、環境整備や宗教施設移動により遅延が生じています。
又、海上を渡りナビムンバイを繋ぐ一大プロジェクトでもある「ムンバイ・
トランスハーバー・リンク計画」には既に936億ルピー(1404億円)もの
投資を行っていますが、度重なる工事期限の延期を受け1200万人以上いる
通勤者の足となるには当分時間がかかりそうです。
ムンバイでは、いわゆるその都市自体が大きな権限を持つのではなく、
プロジェクトを計画・実行できる公的事業体が複数あり利権争いと
縄張り争いを行う構図があることが大きな要因でもあります。
こういった要因が、土地の買収や交渉、法整備等といったプロジェクトを
遂行するための地盤確保にも大きく影響し、ムンバイでのインフラ整備が
他都市より遅れている現状を引き起こしています。
特に、インドでは企業体(日系や外資企業含む)が州政府や各自治体と
共に行う大規模プロジェクトや製造拠点の設立では、土地の買収や
その交渉などが不可欠となります。
それゆえ、土地所有者との公正な買収価格の提示やその関連規定をまとめた
法案が9月に発表され現在審議されています。
その法案が、いわゆる「新土地収用法」と呼ばれ、下記の様に新たに
制度が定められる予定となります。
新土地収用法(The Land Acquisition Bill)
【土地収用時の支払い額について】
政府機関(収用者)が、土地所有者より土地を収用した際に、農業地帯では
市場価格の4倍までを、都市部では2倍までを上限として、所有者に対して
支払を行う規定を予定しています。
これまでは、支払いに関する厳格な規定は存在していませんでしたが、
土地所有者からの円滑な収用、引き渡し、及び所有者の財産保護を
目的として、新たに上記の条項が規定される予定となります。
【恣意的収用について】
食糧の安全供給の確保及び恣意的な土地収用を防ぐために、新法が
各州政府による農作物栽培地区での土地収用を制限することができる
権限を新たに規定する予定となります。
【収用地の取り扱いについて】
収用された土地の未整備が長期間に渡る場合は、新法が州政府に対して
元所有者への返還もしくは、州政府の土地管理機関(the State Land Bank)へ
預けるよう直接指示することができる権限を新たに規定する予定となります。
又、収用された土地が第三者へ評価額の40%以上で転売された場合、収用された
土地所有者に対して一定額(金額は検討中となります)が配分される規定が、
新たに予定されています。
この様な法律的、会計及び税務問題に関して少しでも気になる点や
疑問ありましたら私や当社の会計士及び弁護士へ気軽にご相談くださいませ。
又、新たに改正された法律に関しての問い合わせや不明点についても
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