インド移転価格における事前確認制度(APA)

税務

みなさん、どうもこんにちは。増田です。

先週の土曜日・日曜日に、TCGの年2回の恒例行事である、メンバー全員参加の「研修旅行」が河口湖で開催されました。私がちょうど入社した年からスタートし、以来、今まで全て欠かさず参加していたのですが…、今回はインド駐在中との事で、初めての「スカイプ」での参加となりました。
噂では、300人(?)集まったそうで…。残念ながら、スカイプでは日本側の映像は見れなかったのですが、現場の雰囲気は少なからず感じ取ることが出来ました。
普段、国が違うと仕事以外でなかなかコミュニケーションが取りづらい中で、15分~20分程度という短い時間でしたが、とても貴重な時間となりました。

さて、今回は2012年予算案において導入された「事前確認制度(APA:Advance Pricing Agreement)」について書いていきたいと思います。

APAとは、移転価格税制の対象となる取引の価格設定に際して、企業側が算定した独立企業間価格(ALP:Arms Length Price)と、その算定方法の妥当性について、事前に税務当局から確認を受けるという制度です。この確認を受けることにより、一定期間、確認を受けた取引については移転価格の更正処分を受ける事が無い、という制度になっています。
企業側にとっては、移転価格のリスクを無くすことが出来るため、非常に有効な制度となってはいますが、申請に際して手続きが煩雑であることや、取引関連国すべてのAPA申請を行うとなると、承認までに長期間を要するなどのデメリットもあり、申請するかどうかの選択は、これらを総合的に勘案した上での企業側の判断によることになります。

インドAPAにつき、2012年の予算発表当時から期待がされていましたが、具体的な手続き等は公表されていませんでした。2012年8月30日に、ようやくインド中央直接税務局(CBDT:Central Board of Taxes)より、今後のAPAに関する事務運営指針が発表されました。

インドAPAについて、その主な内容については概ね以下の通りとなります
(発表された全文、用語の定義など詳細については、インド税務当局より8月30日付で発行されたNotification No.36 of 2012をご覧ください)。

<インドAPAの特徴>
・一カ国のみのAPA(Unilateral APA)だけでなく、二国間APA(Bilateral APA)、多国間APA(Multilateral APA)についても申請が可能。ただし、申請の種類により申請機関が異なる
・申請する際のALP算定方法については、インド所得税法に規定されている方法を採用することとなる
・APAに関して、事前相談(Pre-filing Consultation)が可能。この場合には、Form3CECという用紙をDGIT(Director General of Income Tax)へ提出する(相談の内容は、APA申請に際しての対象取引範囲や、移転価格問題の特定など)
・APAの申請の際には、Form3CEDという申請用紙をDGIT又は二国間以上のAPAの場合は、権限のある当局に提出。APA申請については、以下の申請手数料が必要となる

<APA申請にかかる費用>

対象となる国外関連取引の金額 申請料金
Rs.100crores(1croreは1千万。つまり10億)以下である場合 Rs.10lacs(1Lacは10万。つまり100万)
Rs.200crores(20億)以下である場合 Rs.15lacs(150万)
Rs.200crores(20億)を超える場合 Rs.20lacs(200万)

・APA申請を取り下げたい場合には、Form3CEEという申請用紙を提出することで申請の取り下げが可能

大規模法人などについては、この改正により、諸外国に比べて厳しいと言われるインドの移転価格リスクを大幅に減少させることが可能ですが、インドにおけるビジネス規模がまだ小さい会社については、APAを行うことが必ずしもベストとは言えず、会社が負っているリスクの度合い、取引規模とAPAにかかる申請コスト(現実的には、会社独自ではなく外部専門家を活用するケースが大部分かと思われます)などを事前に検討した上で、事前相談やAPA申請に進む必要があると思います。

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