東京コンサルティングファームフィリピン・セブの日比野です。
今回はフィリピンの地方の税務当局の対応について紹介させていただきます。
フィリピンでは地方に行くほど税務当局の統制が緩い傾向にあります。マニラの都心部や工業団地では多くの日系企業、高額納税者が厳しく税務調査を受け、追徴課税を受けるケースが多くあります。数年前までは税務担当官によるアンダーテーブルで対処をしている企業もありましたが、最近では税務当局が賄賂を拒否して正当な手続きで課税を要求するようになってきているようです。
一方、セブにおいてはまだ税務調査に馴染みのない企業が大半です。税務当局で手続きを行うにしても、マニラの税務当局のような厳しい書類指導がなく、時にペナルティを払うべき場面でさえ支払わなくても良いと伝えられることもあります。しかし当局の担当官から若干のアンダーテーブルを要求されたり、逆に当局とのコネクションで物事が進むこともあります。
さらにダバオや地方に行くと、そもそも事業登録をしていない会社が営業を行っているにも関わらず、政府から指導を受けていなかったり、多くの企業で正しい税務申告も行われていないまま放置されている状況も見受けられます。税務調査や指導が入る可能性も大変稀で、企業としてコンプライアンス遵守に危機感を抱いていない状況があります。こちらでもさらに安いアンダーテーブルを支払うことで、当局における手続きが進みやすくなるということもあるようです。
マニラのように厳しい取り締まりがありながら、不正を受け付けない政府の体制が今後地方にも広がってくれば、日本企業にとっては比較的ビジネスのし易い環境になることが予想されます。その前に経理担当者や取引企業とも連携しながら周辺の税務リスクを解消する方向に向かっていかなければいけません。
それでは今週も宜しくお願い致します。
株式会社東京コンサルティングファーム
フィリピン支社 セブ支店 日比野和樹