新会社法(移行期間)

法務

こんにちは、

 今回は、旧会社法から新会社法への移行期間について解説をしたいと思います。

 新会社法においては、施行から12カ月の期間を移行期間として設定しています(1(c)(xlii))。新会社法の施行により、旧会社法(細則等含む)は廃止されます(465(a))。この移行期間内に、旧会社法から新会社法への移行を行う必要があります。どのような手続きが必要になるのでしょうか。

 まず、会社定款について、旧会社法で設立された会社の定款は、新会社法に抵触しない範囲で引き続き有効となります(12(d))。ただし、会社の事業目的については、株主総会特別決議を経て、登記手続きを踏まない限り、経過期間の終了時に抹消されたものとみなされてしまいます(12(e))。従いまして、経過期間終了後も引き続き事業目的を定款に有効に残したい場合には、上記手続きが必要となります。

 それから、経過期間中に居住者である取締役を指名しなければなりません(469(b))。手続きとしては、取締役の中に居住者に該当する者がいればよいのか、それとも、居住者である旨を表明して登録手続きが必要なのかは不明です。

 同様に、支店の場合には、国外企業と区分が変わり、経過期間中に居住者である役員(Authorised Officer)を指名しなければなりません(469(c))。

 また、新会社法においては、取締役以外の役職者(managing agent)を登録することが認められないため、新会社法施行時に取締役以外の役職者が登録されている場合には、取締役として看做されることになるようです(476(a))。新会社法施行から28日以内に申請を行えば、移行期間中については引き続き取締役以外の役職のまま業務にあたれるようです(476(b))。取締役に繰上となることを嫌うケースも多いと思われますので、その場合、新会社法施行前に登録役員(Form 26上の役員)から抜いておく等の対応が必要です。居住者である取締役との兼ね合いもあり、事前検討が必須となってきます。

 それから、移行期間に必要な手続きということではありませんが、新会社法の施行前に開始された会社清算手続きについては、新会社法の成立が無かったものとして取り扱われることになるという除外規定が設けられています(465(b))。

以上

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