マレーシア 清算について➁

皆様、お世話になっております、
東京コンサルティングファーム マレーシア の安孫子で御座います。

前回に引き続きマレーシアの清算に関してご説明させて頂きます。
昨今の状況から、清算、事業譲渡に係るお問い合わせが増えております。
下記、詳細を記載させて頂きます。

 

目次

■清算

・債権者による任意清算(Creditors ’ Voluntary Winding Up)

会社がすでに支払不能の状態にあるか、または将来そうなる可能性がある場合、つまり債権者に損害を与える可能性のある場合、債務者である会社自身が招集した債権者会議において、特別決議(Resolution for Voluntary Winding Up)を採択することにより手続が開始される清算手続です(449条)。

株主総会で清算人が指名される点は株主による清算と同じですが、株主総会後、債権者集会が開かれ、債権者は株主総会と異なる清算人を指名することができます。

この場合、債権者集会で指名された者が正式な清算人となります。

 

株主による任意清算との決定的な違いは、支弁能力宣言(Declaration of Solvency)が行われないという点にあります。

この方法で債務者である会社を清算させようとする債権者は、債権者が親会社または関連会社である場合を除いては、あまり想定できません。
その場合でも親会社や関連会社が債権を放棄すれば、株主による清算が成立するため、この方法での清算はマレーシアでは行われていません。

 

・登記抹消(Strik Off)

登記抹消はマレーシア会社登記所(CCM)の長たる会社登記官がその権限において、登記抹消に関する官報(Gazette)で告知後、法定期間30日を経ても何人からも不服申し立て(Objection to Striking Off)がない場合に行うことができる手続です。
従前、この方法による会社清算はほとんど行われることがありませんでしたが、マレーシアでは実質的に休眠中の会社が多く、それらを整理するために、CCMがこの方法を用いて稼働していない会社の登記抹消を始めた経緯があります。

会社法549条には、会社登記官が自ら先手を打って登記抹消を行うように記されていますが、現実的には、会社の株主または取締役が会社秘書役を通じて登記抹消申請をします。
登記抹消の条件は、事業活動が停止していること、債権・債務が一切ないこと、係争案件がないこと、従業員がいないことなどです。

株主による任意清算と比べると、条件が整った会社なら、登記抹消のほうが時間的にも金銭的にも簡易です。費用は会社秘書役とCCMへの支払の合計で、5,000リンギット程度です。条件が整った状態で申請すれば半年以内に、会社はCCMの会社登記簿から抹消されます。

 

なお、日本の上場企業が子会社であるマレーシアの現地法人を、登記抹消によって清算した例は、ほとんどありません。
なぜなら、日本の国税庁ならびに株主が、登記抹消による清算という説明を受け入れない可能性があるからです。

 

以上となります。
ご質問やご依頼が御座いましたら、ぜひともお問い合わせ頂ければと存じます。


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東京コンサルティングファーム マレーシア拠点 / Tokyo Consulting Firm Malaysia
安孫子 悠治 (abiko yuji)


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