有期雇用契約解除に関する判例

労務

 お世話になっております。東京コンサルティングファームの藤井でございます。

本日は、労働法に関する判例のうち、有期雇用契約解除に関する判例についてご紹介いたします。

〜有期契約解除に関する判例〜

 

従業員A氏は、ITの業務改善やコンサルタントとしてキャリアを積み、B社とC社へのITを組み込んだ業務改善のプロジェクト期間である2013年10月23日〜2014年10月22日まで、有期雇用契約としてB社と雇用契約書を交わし、C社へ派遣された。しかし、C社から、A氏の勤務態度(遅刻をよくする、業務を終わらせない)ことや、病気休暇をよく取得し、仕事場所に来る機会が少ないなどのクレームがB社に入り、2014年4月30日に、B社は口頭でA氏に注意をし、改善を促した。しかし、その後も改善される機会が見受けられないため、同年5月12日に1ヶ月前の解雇通知を出し、翌月6月12日に解雇するに至った。このことに対し、A氏は、B社の雇用契約違反であるとし、10月までの契約期間分の支払いを求め、裁判所に訴えた。

 

<従業員側の主張>

B社及びC社が理由としてあげている、勤務態度に改善が見られない件については、どう言ったところが悪いのかを具体的に教えてもらっておらず、改善することができなかった。また、病気休暇が多いと言う指摘については、証拠のメールでも示した通り、C社の上長に医療機関の証明書を提出し、前もって伝えているなど、C社のルールに則って動いており、意図的に多く休んでいると言うことはない。また、今回の契約打ち切りに対しては、雇用契約書で書かれている2ヶ月前の通知ではなく、1ヶ月前に通知がなされたことは不当解雇であると考える。

 

<会社側の主張>

C社と話し合った結果、A氏の勤務態度に問題があると言うことは十分に理解できた。C社との話し合いの内容では、A氏が仕事を終える能力がなかったわけにもかかわらず、仕事が終わらず、プロジェクトの進行を遅らせていることがわかり、A氏がその業務が終わらないと言うことをC社及びB社に適切に報告しなかったことは、彼女が仕事を適切にこなしていたとは言い難いと思える。そして、B社としては、口頭で彼女に改善を促したのにも関わらず、その後一切の改善が見られないのは、A氏が職務を全うする義務を放棄したと言わざるを得ない。よって、B社は、彼女の不適切なパーフォマンスによって生じるプロジェクトへの多大な影響を考慮し、契約を打ち切るに至った。よって、B社側の落ち目はなかったと考える。

 

<裁判所側の主張>

 

裁判所は、従業員側の意見を尊重する。その理由は、まず、雇用契約書には、適切なパフォーマンスが発揮されない場合や、不適切な行為があった場合に対する解雇通知は2ヶ月前に提示すると明記がされており、今回の1ヶ月前通知が違反であると言うことが一つ。そして、B社が言っている、パフォーマンスが芳しくないためという理由であるが、それに対して、B社側の解雇通知が早すぎるということは、不当に解雇をしたと言わざるを得ない。4月30日に口頭で注意をしてから、改善を促す期間が12日にしか与えられないのは理不尽な期間である(解雇通知が5月12日に発行されているため)。最低でも3週間程度の猶予は、与えられるべきであり、その期間内で、A氏に何らかのフォローをB社側から行うべきであった。よって、この二つの理由により、B社は、契約の残り期間に相当する金額、26,000RM(契約残期間、4ヶ月と10日から月額6,000RMをもとに、算出した金額)を補償金として支払わなければならない。

 

<判例のポイント>

 

B社は、経験者を採用し、そのA氏のパフォーマンスが芳しくなく、プロジェクトに影響が出るのを最小限に止めようとして行った処理ではあるものの、雇用契約書に書かれていることを履行しなかったことは大きなミスであり、また業務パフォーマンスが芳しくないことに対する改善期間が短すぎることも裁判官への印象を悪くしたと言えます。また、裁判官は、業務パフォーマンスが悪い場合や不適切な行為があった場合は、その証拠をしっかり集め、従業員と面接を行い、改善の機会を与えることなどといった正しい手続きを踏んだ上で、解雇をするべきであるということを推奨しています。それは、1987年に、下された判決文を使い説明をしています。下記にて、簡単にはなりますが抜粋します。

 

“Dismissal for unsatisfactory work or incompetency should almost invariably have been preceded by warnings.

 

In the event of poor performance being the reason for the dismissal one should always endeavor to show that the work complained of was performed subsequent to the warnings. If an employee is not measuring up to his job, it may be because he is not exercising himself sufficiently or it may be because he really lacks the capacity to do so. An employer should be very slow to dismiss upon the ground that the employee is found to be unsatisfactory in his performance or incapable of performing the work which he is employed to do without first telling the employee of the respects in which he is failing to do his job adequately, warning him of the possibility or likelihood of dismissal on this ground and giving him an opportunity of improving his performance. It is for the employer to find out from the employee why he is preforming unsatisfactorily and to warn him that if he persists in doing so he may have to go.”

 

 

 

 

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藤井 大輔 (ふじい だいすけ)

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