産業分野別には、サービス業向け直接投資の受入が1 0 1 億US ドル、次いでテレコミュニケーション業が5 7.9 億US ドル、貿易・卸売業が3 1.2 億US ドルと、一部産業には停滞はあるものの、全体としては順調に伸びています。国別に見ると、投資額1 位がモーリシャスの1 5 0 億US ドル、2 位がシンガポールの98.2 億US ドル、3 位が日本の57.8 億US ドル、4 位はオランダの29.9 億US ドルで、5 位にアメリカの26.2 億US ドルと続いています。
モディ政権誕生(2 0 1 4 年4 月)後、停滞していた国内への直接投資(対内FDI)は増加傾向に転じました。
海外からインドへの投資額は、2 0 1 5 年に3 9 3 億US ドルとなりました。
中国経済が減速している中、有望な成⻑市場としてインドの存在感が⾼まっています。
2 0 1 7 年度には、政府が同年4 月からの予算案を発表し、財政赤字のGDP 比を3.2% に据え置きました。
2 0 1 6 年1 1 月の高額紙幣の廃貨措置に伴う一時的な景気の下押しが予想され、ウッタル・プラデシュ州の議会選挙が控えていたものの、モディ政権は経常歳出の増加に繋がる景気刺激策を最小限に抑え、財政健全化に向けた強い姿勢を見せました。
また、同時期にインド準備銀行(RBI)は金融政策委員会(MPC)で政策金利を6.2 5% に据え置くことを決定し、以降、長短国債利回りは上昇し、実質金利の水準も反転しました。
2013 年から2 0 1 7 年2 月にかけて他国通貨が大きく下落する中で、ルピーの相対的な底堅さが目立ちました。
経済赤字の縮小と直接投資流入額の増加に伴って基礎的国際収支(経済収支+直接投資収支)がプラスに転じるなど、対外収支も安定していると言えます。2013 年のルピー相場の急落時に外貨準備水準の低さを指摘された経験もあり、RBIは積極的なUS ドル買い介入を継続しています。2017 年2 月時点の外貨準備残高は3,6 2 7 億US ドルと増加し、
対外バランスシートは強固と言えます。今後も、米トランプ政権の政策を巡る不透明感から、米長期金利やUS ドルの上昇と新興国通貨の下押しなどが予想されますが、相対的に強い実質金利、安定的な国際収支、「メイク・イン・インディア」に象徴される内需主導の成長など、同国のショック耐久力は強く、今後もルピー相場は底堅く推移されていくと予想されます。