皆さん、こんにちは。
チェンナイ駐在員の中村です。
今週は先週に続き、インドにおける配当スキームについて触れたいと思います。
先週はインド国においては、配当者側に課税されるルールを確認しました。
然しながら、クロスボーダーで配当が行われる場合(インド現地法人から海外本社に配当金を送金する場合など)、
インドから日本を含む外国向けの配当支払いの場合、まずインド国内で支払い企業にDDTが課税され、
受取りでも、本国の税制に従って受取り配当金に課税されることになります。(日本は子会社等、国外からの一定
の配当収入のうち95%を非課税としている)
また、利益配当と配当税の支払いは、企業側から見れば同じ原資から行われているため、
実質的に株主に対する利益配当に課税されているのと相違ありません。
というのは、配当可能利益を全額配当処分すると、相当額のDDTの支払い原資がなくなってしまいます。
配当税支払より生じる債務超過という事態を避けるため、資本金及び資本準備金等を取崩して配当税を支払うことは許可されていません。
したがって、会社は配当可能額の中から、あらかじめ配当税に支払分を分けておいてから、配当を行うことになります。これは実質的には株主において税金が源泉徴収されるのと同義です。
未払配当金の処理
株主総会を通じて利益配当金が決定されたものの、何らかの理由で配当支払が完了しない場合がありますが、イ
ンド会社法は、未払いの期間に応じて、それぞれ会社の義務を定めています。
205A条に依れば、配当宣言後30日以内に支払を行わない場合、その後7日以内に未払い配当口座(Unpaid
Dividend Account)に、未払い配当額を入金する必要があります。また、配当宣言後7年以内に配当が干渉しな
い場合、投資家教育保護基金(Investor Education and Protection Fund)に口座移転する義務があります。
従って、株主は配当受領権を失うこととなります。
次に送金関係についてですが、海外に居住する株主がインド国外で配当金を受領する場合、海外送金とみなされ
るため、インド外国為替管理法に従い、外国送金についてのインド準備銀行(RBI)の承認が必要となるケース
が散見されます。
今週は以上です。
東京コンサルティングファーム
中村 匠吾
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