皆様、こんにちは。カンボジア駐在員の公認会計士の熊谷です。今週は金融資産の分類についてご説明させていただきたいと思います。
会計期末において金融資産を評価することになりますが、IFRSでは3種類の評価方法に区分されることになります。
① 償却原価
償却原価とは、債権または債券を債権金額または債券金額より低い価額または高い価額で取得した場合において、当該差額が主に金利の調整部分に該当するときに、これを弁済期または償還期に至るまで毎期一定の方法で取得価額に加減した後の価額をいいます。
したがって、取得価格と債券(債権)金額に差異がない場合、償却原価=取得原価となります。差異がある場合、毎期一定の利息処理を必要とし、その処理後の金額を償却原価と呼んでいるということです。
IFRSによれば、以下の両方の条件がある時に、償却原価測定に分類しなければなりません。
・契約上のキャッシュフローを回収するために資産を保有しており、当該資産はその範疇である。
・契約書に、特定の日に元本および元本に対する利息の支払いのみを受け取ることが明記されている。
② その他の包括利益を通じた公正価値
このタイプは、会計期末には時価で評価替えを行い、以前の評価と時価の差額をその他包括利益で処理するタイプのことを指します。その他包括利益とは、資本の部で、直入するものであり、純損益計算には反映されません。
IFRSによれば、以下の両方の条件がある時に、その他の包括利益を通じた公正価値測定に分類しなければなりません。
・契約上のキャッシュフローを回収するため及び売却するために資産を保有しており、当該資産はその範疇である。
・契約書に、特定の日に元本および元本に対する利息の支払いのみを受け取ることが明記されている。
上記の基準は、償却原価の基準とかなり似ています。ですから、IFRSにおいては、償却原価・その他の包括利益を通じた公正価値、どちらの基準にも該当してくる金融資産はかなり多いと思われますが、その際は企業が自由に会計方針を決定できるものと推測します。日本基準のように、こういう場合はこの会計処理を行いああいう場合はあの会計処理、というようなガチッとした決め方はされてないのです。IFRSは原則主義の会計であるためです。
残りの一区分は、純損益を通じた公正価値ですが、これは次週にご説明いたします。
今週は以上です。
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