皆様、こんにちは。
東京コンサルティングファーム・フィリピン支店の伊藤澄高です。
さて、前回は「移転価格税制」について、ご説明致しました。
今回のテーマに移る前に一度おさらいをしましょう。
移転価格税制とは関連企業間との取引において不当な所得の移転を防止する税制となります。グループ間企業の取引において商品や役務の販売価格を通常の価格と異なるように設定をすることで他方に所得の移転が可能になります。グループ間取引価格(移転価格)を資本・支配関係を持たない第三者と取引した価格に計算しなおすことで、適切な国際課税を実現させることを目的としています。
今週のテーマは「移転価格税制における文書化」です。
移転価格における文書化はフィリピンでは2013年に公表されたガイドラインにて文書化する義務が規定されました。
BIRによる税務調査時において、文書化することにより関連会社間の取引は公正であることを主張することができます。内容としては、会社概要、携わる業界、経営戦略などの会社情報から関連企業間取引の情報(例えば、グループ間取引価格の算定方法や採用した算定方法以外を不採用とした理由など)を文書化することになります。
文書化することのメリットは前述のとおり、BIRにおける税務調査において反証が可能になること、また文書化によって税務調査前に指摘されそうな部分を特定できることにあります。なお移転価格の文書化は一方の税務当局だけでなく、取引相手国の税務当局のことも考慮して作成することが重要になってきます。
今週は以上となります。
次週は移転価格税制におけるAPA(事前確認)制度について、ご説明いたします。
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フィリピン国 マニラ駐在員
伊藤 澄高
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