IT企業様のフィリピン進出について④

法務

こんにちは、フィリピン駐在員の田辺です。

フィリピンは10/26(金)と11/1(木)2(金)が祝日のため、10/29~31までを有給にするとなんと10連休というプラチナウィークの真最中です。もちろん私はカレンダーに添って勤務しているため10連休にはなりませんが、11/1~4まではカレンダー通りの4連休です。久しぶりに小旅行でもしようかと考えている今日この頃でございます。

さて、ちょっとした連載になってしまいましたが、IT企業様のフィリピン進出について、今週はフィリピン現地側の手続きについてお話をさせて頂きます。

■現地側手続
【フィリピン側手続】

①商号の予約・登録
フィリピンにおいてすでに使用されている商号または類似する商号は使用することができません。よって、登記申請の前にSECに希望する商号が使用することができるかどうかの確認を行います。通常は、3つ程度の社名を準備し、使用許可申請を行い、申請した商号が承認された場合には、社名確認書が発行されます。現在は、オンラインにより商号の確認ができるシステムがあります。
チェックシステムの審査基準が厳格であるため、申請された商号が既に登録されている商号と少しでも類似していると判断がなされた場合には申請が通りません。この場合、希望する商号が類似していないとの事由を記した文書を提出することにより、承認されるケースもあります。

[商号確認書]
商号の予約手続により取得した商号確認書が必要となります。この商号確認書は有効期限があり、期限内にSECに登録申請をしなければなりません。有効期限が過ぎてしまった場合は、再度商号確認書の取得が必要となるため注意が必要です

・手数料40ペソ:商号確認の有効期限が30日間
・手数料120ペソ:商号確認の有効期限が120日間

②銀行口座開設/資本金の払込
SECに登記登録をする前に、銀行口座を開設し最低払込資本金の送金を完了しておく必要があります。銀行口座の開設は、現地の弁護士事務所及びコンサルティング会社に依頼することができます。

[送金証明書、預金証明書]
原則として、払込資本金の送金を証明する送金証明書及び預金証明書を銀行から取得し公証を受けます。口座を開設することができる銀行は、特別に権限を与えられた銀行だけなので口座を開設する前に確認することが必要になります。

③証券取引委員会(SEC)への登録(所要期間:約4週間)
証券取引委員会(SEC)が外国法人の監督・管理を一括して行っています。
SECへの登録が完了した後に、地方自治体からの法人の設立許可であるバランガイ・クリアランス、法人の設立地区を統括する市長からの営業許可である事業許可証を取得しなければなりません。

[年次報告書 GIS(GENERAL INFORMATION SHEET)]
年次報告書のフォーマットはSECのホームページからダウンロードすることができます。内容としては、会社名、会社住所、電話番号、資本金の額などの基本情報を記載します。日本における登記簿謄本と同じような機能を持っています。

[財務役宣誓書]
財務役に任命された者の宣誓書となります。具体的な内容としては、本人が財務役に任命された旨及び最低払込資本金が問題なく振り込まれたことを証明する等の内容となります。また、フィリピンの公証役場において認証を受ける必要があります。

[登録手数料]
SECへの登録手数料は、授権資本額の1%の1/10にその20%を加えた金額となります。さらに、調査手数料として登録手数料の1%を支払います。
SEC登録申請が承認されると、登録証書(Certificate of Registration)が発行されます。最近では、SEC登録の際に同時に納税者識別番号が付与されます。

④フィリピン中央銀行への登録(所要時間:約2週間)
資本金として送金した資金は、フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas)に外国投資として登録することができ、外貨建て投資はフィリピンペソに転換されます。中央銀行に登録をすることにより、本国への配当、利子、利益又は会社を清算した場合の資本の本国引き揚げの際に外貨での送金が可能となります。外貨の調達は、公認代理銀行を通して行うことができます。
なお、本国に海外送金をする場合の手順としては、まず中央銀行に外国投資としての僧録を行い、フィリピン中央銀行登録書類(BSRD)を取得します。その後、送金を行う公認代理銀行に申請を行います。
この手続は任意となりますが、海外送金が必要になることを考え、設立と同時に登録することをお勧めいたします。

⑤地方自治体での手続(所要期間:約4週間)
[バランガイ・クリアランス( Barangay Clearance)]
子会社の所在地を管轄するバランガイ(Barangay)から許可証を取得します。通常バランガイ事務所では、SEC登録証書及び賃貸契約書の提出を求められます。なお、バランガイとは都市を構成する最小単位の地方自治体のことを指します。

[事業許可証(Mayor’s permit)取得]
子会社の所在地を管轄する地方自治体から事業許可証を取得しなければならず、以下の書類が必要となります。事業許可証申請時には通常、職員による査察が行なわれ、賃貸契約書の提出が求められます。さらにこれに付随して、オフィスの占有許可証の提出を要求されるケースがあります。こちらはビル単位ではなく、オフィス単位での提出となるため、貸主にあらかじめ許可を得ているかの確認をする必要があります。
なお、書類を用意できなかったためにオフィス住所を変更したといったケースもあります。事業許可証は毎年更新しなければなりません。

・バランガイ・クリアランス
・賃貸契約書
・所定の申請書
・SEC登録証書
・定款、付属定款
・申請手数料、地方事業税(申請手数料、地方事業税額は地方自治体により異なる)

[住民税納付証明書(Community Tax Certificate)]
住民税納付証明書は、会社の所在地を管轄する地方自治体にて納付、証明書を取得することになります。毎年の更新しなければならず、バランガイクリアランスを取得する際にも必要となります。

⑥内国歳入局(BIR:Bureau of Internal Revenue)での手続(所要期間:約2週間)
[納税者識別番号(Taxpayer Identification Number)の取得]
会社の所在地を管轄する税務署(Revenue District Office)から、納税者識別番号を取得します。申請時には SEC 登録証書の提示が求められるので準備が必要です。最近では、SECから登記を許可された時点で与えられるケースが多くなっています。

[印紙税の納付]
印紙税の納付期限は、株式を発行した月の翌月5日となっています。印紙税は株式発行の際(資本金払込時)、200ペソにつき1ペソが課されます。

[納税者登録]
会社の所在地を管轄する税務署に申請します。申請時には登録申請書(BIR 書式番号1903)に以下の書類を添えて提出する必要があります。

・事業許可証
・事務所賃貸契約書
・SEC登録証書
・会計帳簿
・会社定款、付属定款
・登録手数料

申請が承認された後に、登録証明書(BIR 書式番号 1556)が発行されます。

⑦社会保険関連の手続
従業員の雇用が発生した時点で、社会保障制度(SSS)、健康保険公社(PhilHealth)、持家促進相互基金(Home Development Mutual Fund/Pag-IBIG Fund)への登録を行い、毎月拠出金を納付します。これらの手続は、日本人駐在スタッフが現地で駐在を始める場合にも、雇用が発生したとみられ、手続を行う必要があります。
なお、社会保障制度の登録後、従業員は社会保障制度の主催する研修に参加することができます。この研修に参加することにより、社会保障における従業員の権利と義務を認識することができます。

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今週もどうぞ宜しくお願い致します。

以上

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