フィリピンの人口動態から見えてくるもの

皆さん、こんにちは。

フィリピン・マニラの近石です。

今週のブログではフィリピンの人口動態から、今後のフィリピンに求められる政策を、フィリピンへ進出しようと考えておられる方々に向けて参考にして頂ければと思います。

フィリピンの人口は、2016年のIMF(International Monetary Fund:国際通貨基金)の調査によると約1億400万人であり、2017年では1億600万人と、さらに東京オリンピックが開かれる2020年には1億1200万人と右肩上がりに上昇していき、国連の人口中位推計では2028年にフィリピン人口は1億2300万人と日本を抜くことが予想されている。

このことは、少子高齢化により労働人口の減少に瀕している日本とは対照的であり、労働人口が今後も市場へ溢れる状況が続くが、国内では労働の人口増加に見合うだけの雇用が生み出されていない為、国外へ出稼ぎをする状況が今後も続いていくと考えられている。

具体的に人口動態を見ていくと、フィリピンの年平均人口増加率(2000年から2010年)は1.9%で、1人の女性が一生に産む子供の平均数を示す合計特殊出生率は3.3人(2010年)である。また、65歳以上の高齢人口比率は4.3%であり、過去のデータと比べて出生率のスピードは低下し、高齢人口比率は上昇しているものの、日本や中国、韓国に比べ少子高齢化のスピードは緩やかである。

年齢階層別にみてみると、15歳から64歳までの生産年齢人口の比率は62.3%であり、この比率は2050年頃まで増加し続けると予想されている。

これまでは、人口の増加は貧困問題、格差社会の促進などとネガティブな事象として捉えられることが多かったため、中国の一人っ子政策にみられるように、産児制限を行う国もあったが、少子高齢化に瀕する国が増加していく中で、生産年齢人口が経済に与えるメリットが見いだされることとなってきている。

更に、フィリピンでは他のASEAN諸国と比べて、昇給率が安定しており、英語が流暢である等フィリピンの優位性が高い為、今後も外国企業の注目を集めることが予想される。また、ドゥテルテ政策で外資誘致促進と競争力強化のための憲法や法律の見直しが検討されていることも、外国企業からの注目を集める一因になると思います。

生産年齢人口の増加を有効に経済成長に結びつけるためにも、労働力が海外へ流出する状況を改善し、国内の雇用を創出していくことが必要であり、また、経済成長の一因になる資本ストックの増加を生み出すためにも、貯蓄率を引き上げることも必要になってきます。

今週もどうぞよろしくお願い致します。

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