ミャンマーにおける固定資産の譲渡について

皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループミャンマー拠点の近藤 貴政です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「ミャンマーにおける固定資産の譲渡」についてお話していこうと思います。

 

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【ミャンマーにおける固定資産の譲渡について】

諸事情で海外ミャンマービジネスを諦めることになった際、しばしば問題になるのが固定資産です。法人清算の際にも、支店や駐在員事務所を閉鎖することを考える際にも、適切に固定資産を処理する方法を理解していることは重要です。

今回は、ミャンマービジネスとして、気を付けておくべき固定資産の譲渡の手続きについて、まとめてお伝えします。

1.固定資産の定義

会社法に基づく帳簿の作成に際して、1年以上使用することのできるものは原則として固定資産(Fixed Asset)と位置付けられます。

各会社は固定資産台帳(Fixed Assets Registry)を作成して、分割して販売できる最小の単位でこれを認識し、列挙する必要があります。

ただし、上記の定義に該当すれば、MMK100のものでも固定資産んと認識する必要があることになりますが、さすがにそれでは帳簿も煩雑になってしまいます。会計上、各社が金額や性質など一定の基準を設けてこれをポリシーとし、例えば購入時のレートでUSD1,000を下回るものは一律費用認識するなどの処理が可能です。

2.税法上の扱い

固定資産は、所得税法に示された償却率を超えない減価償却率でもって、毎年一定の金額を減価償却(Depreciation)し、損金認識することが可能です。

会計上は、会社のポリシーで税法の償却率を超えて減価償却することも可能ですが、年度末から3か月以内に対応が求められる法人所得税申告の際に税法上の償却率を超えた分は損金不算入となります。

また、固定資産は上記の通り、損金算入ができるため、その譲渡・売却に際しては、キャピタルゲインの有無が申告され、その金額がプラスであれば納税がされる必要があります。

キャピタルゲイン税(Capital Gain Tax)のルールとしては、譲渡・売却が行われた日から1か月以内に取引単位の申告(Transactional Filing)を行って必要であれば支払いを行い、年度末から3か月以内に合計額の確定申告(Consolidated Filing)を行うというものです。

3.会社法上の対応

固定資産の処理は、会社法上事業の本質を変容させるものと考えられるため、その処理には取締役会の決議(Board of Directors Resolution)が必要だとされています。必ずしもどこかに提出が求められるものではありませんが、税務当局が提出を求めてくることがあるため、必ず作成するようにしておくとよいでしょう。譲渡・売却に加えて、廃却する場合にも決議書の対応は必要になります。

また、会計上重要なのは、譲渡・売却相手との合意を示す書類です。譲渡契約書(Asset Transfer Agreement)を作成し、金額を明記したものを作成したうえで、証憑として記録に残すことが重要です。

なお、こうした契約書は印紙税(Stamp Duty)を以って初めて有効とされるため、印紙税処理(資産価格の0.1%)も契約日から1か月に実行が必要です。

4.従業員への譲渡・売却

事業をたたむような場合に多いのが、残存する機材などまだ使用できる固定資産を従業員に託してしまうという対応です。

譲渡・売却する相手が企業である場合なら、相手にも会計帳簿作成の義務があるため明確になりますが、相手が個人の場合は帳簿をつける人はほぼいないと考えられます。この点、資産価値の残る固定資産が譲渡・売却される場合でも、個人であれば特段その価値を認識する必要はないと言えます。

個人に譲渡・売却する場合でも、上記税法・会社法上の処理は変わらず、決議書を作成して契約書を巻き、印紙税の処理をしてキャピタルゲイン税の申告・納付を行うという対応になりますが、個人の場合はさらに、購入する本人が同固定資産を購入する正当な資金を有しているかどうかという観点で、源泉の証明ができる資金、いわゆるホワイトマネーの証明が求められます。

ホワイトマネーは、かつて個人所得税がグリーンブックと呼ばれる手帳で管理されていた経緯から、グリーンタックスとも呼ばれ、個人所得税の納税証明が出せなければ、「源泉不明所得(Undisclosed Source of Income)」として一定の累進課税で納税を行って購入者がその資金をホワイトマネー化する必要があります。

5.所有者登録

最後に、自動車や土地、建物など、政府機関の管理下にある固定資産を譲渡・売却する場合には、所有者の登録を変更する必要があります。

この所有者は各政府機関の役所で帳簿がつけられており、所有者には各資産に関してオーナーブック(Ownerbook)という証明書が発行されています。

法人に譲渡・売却する場合も、個人に譲渡・売却する場合も、この所有者の変更が行われていないと、将来的にその固定資産に関する税金や管理に関する問題が生じた場合に、元々の購入者であった自社の名前が持ち上がり、責任の追及がされる可能性があるため、オーナーブックが発行されている固定資産の譲渡・売却に際しては、必ず買い手側が手続きすることを確認するようにしましょう。

6.まとめ

以上、固定資産の譲渡・売却に関する論点を見てきましたが、必要な手続きの全体を以下のようにまとめることができます:

・社内で決議を行い、取締役会決議書を作成する

・固定資産譲渡・売却の契約書を作成する

・同契約書の印紙税処理を行う(30日以内、0.1%)

・キャピタルゲイン税の取引単位申告を行う(1か月以内、売却益があれば支払)

・(他の取引と合わせて年度末に)キャピタルゲイン税の確定申告を行う

・(購入者が個人の場合)購入資金源泉証明の提出を求める

・(所有者登録がある場合)購入者が所有者登録を行うことを確認する

ある程度煩雑な手続きとなるうえ、最終的には税務当局に指摘を受けて書類の作成をやり直すようなことも頻繫に起きるため、可能であれば会計事務所など業者に依頼してしまうことを推奨します。

 

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近藤 貴政


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