ミャンマーの外国直接投資の傾向

税務

 

ミンガラーバー、
東京コンサルティンググループ
ミャンマー支社の西野由花(にしの ゆか)です。

 

ミャンマーと言えば「アジアのラストフロンティア」と考える方も多いと思います。
今まさに発展している国と言われるミャンマー。
しかし、実態はどうなのだろうか?と気になるところですよね。
今回は、ミャンマーにおける外国直接投資について見ていきたいと思います。

 

ミャンマーの2018年4月~2019年3月の間の外国直接投資認可額は36億ドルとなり、金額面では前年度比36%の減少でした。しかし、件数は過去最高の224件となり、特に製造業の投資が好調で案件の7割が製造業となっています。

また、投資に関わる法律も少しずつ整備がされてきています。
2016年には国内投資法と外国投資法が統合され新投資法となり、2018年には新会社法が制定されました。
ティラワSEZをはじめとした経済特区への投資を行う場合は2014年に制定された経済特区法、経済特区外での投資は新投資法に基づいて事業展開を行うことになります。

 

こうしたミャンマーへの外国直接投資は、2011年の民政移管・経済制裁解除の前と後で内訳が大きく変化しています。
軍事政権時代のミャンマーは親中国であったため、中国からの投資が圧倒的に多く、中国と香港、韓国、タイの投資でほぼ100%となっていました。
内容としては、ガス田開発、パイプライン建設、ダム・水力発電所建設などのエネルギー関連の数件の大型プロジェクトです。

 

民政に移管すると、ミャンマー政府は親中国的な外交姿勢を見直し、バランス外交を取り始めました。
その結果両国の間に一定の距離が生まれ、中国からの投資は減少傾向となっています。
一方、投資が活発に行われるようになった分野は、製造業、輸送・通信、不動産、ホテル・観光などであり、国別の外国投資額はシンガポールが最大となっています。

 

これはミャンマーとシンガポールの租税条約により二重課税が回避できることなどによるもので、投資元の企業には通信分野に進出を決めたノルウェーのテレノール社やカタールのOoredoo、ペプシコなどの欧米系他国籍企業に加え、日系企業も多く含まれています。

韓国や日本からは、縫製業、製靴業などの投資が相次いでおり、比較的小規模の投資も含め、件数が多いのが特徴です。さらに、木材加工や食料品などの労働集約型産業の投資案件も増え始めています。
また、国策として工業団地を整備して外資を誘致しようとしている政府の積極的な姿勢から、委託加工契約(CMP)による製造業が注目されていますが、他にもいわゆる裾野産業と呼ばれる分野の企業様の進出も増えています。

 

また、従来ミャンマーでは産業インフラ不足が課題とされていましたが、日本が主導となって開発を行うティラワ工業団地などのインフラ投資が先行することで、その後の製造業の投資を大きく呼び込むことができるという考えは、トヨタのティラワ進出などを見るに現実のものとなる期待が高まってきました。

また、ASEAN他国からも不動産開発の投資が活発に行われるなど、アジアを中心としてミャンマーに投資する機運が高まっていると言えます。

 

いかがでしたでしょうか?
ミャンマーの投資法は従来国内投資法と外国投資法が別々に存在しており、国内外投資家への無差別を明確化することや、投資家保護といった観点から課題がありました。
しかし現在は新投資法によってそれらの課題への対応が行われ、投資法によるインセンティブも受けられるようになっています。

 

いかがでしょうか。
海外への投資はもちろん一長一短。リスクも存在しますが、魅力もたっぷりあります。
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最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

Tokyo Consulting Firm Co., Ltd (ミャンマー)・ヤンゴン駐在員
西野由花(Nishino Yuka)

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参考
https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/05/40a79b77d801363b.html
https://www.mmtimes.com/news/more-mixed-use-projects-springing-yangon.html

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