インドにおける移転価格文書化~TP documentation, TP Study(移転価格文書, ローカルファイル)~

税務

皆様、こんにちは、Tokyo Consulting Firm Private Limited(India) の田本です。

 

本日は、インドにおける移転価格文書化シリーズ、第3回という事で、TP documentation/TP Study(移転価格文書/ローカルファイル)について説明していきます。

 

インドにおけるローカルファイルは、他の移転価格コンプライアンスと異なり、インド税務当局から具体的なフォームが指定されていないため、TP documentationやTP Studyと言うような呼ばれ方をします。

 

ローカルファイルの内容としては、「グループ概要(全体像の把握)、取引分析(機能・リスク分析)、移転価格算定方法の決定、経済分析」等、幅広い観点から移転価格に関する文書を作成する必要があります。

 

近年、インドでは税務当局による積極的な移転価格調査が行われており、こういった調査が入った際に迅速にローカルファイルを提出することが求められます。

 

後ほど説明しますが、ローカルファイルは他の移転価格関連のコンプライアンスと異なり、申告義務がなく、あくまで保管義務のため、タイムリーにローカルファイルを作成できている企業は実態として少ないと言えます。

 

過去の税務調査では、税務当局からのノーティスが届き、税務当局の担当官が指定する日程までに前回説明したForm 3CEBやローカルファイルを提出できなければ、取引価格に対し2%のペナルティーが発生するという事例もあります。

 

そうならないためにも、日系企業の管理部門の担当者や駐在員の方には、ここの部分の管理に目を光らせておく必要があると言えます。

 

さて、具体的には、どのような企業が対象となるのかという点ですが、インド所得税法第92条Dによると、関連者との国際間での年間取引額が1,000万INRを超える場合、および国内関連者との一定の取引の年合計額が2 億INRを超え一定の要件を満たす場合には、移転価格に関する文書の作成が義務付けられています。

 

つまり、繰り返しになりますが、作成が義務づけられてはいますが、申告は義務付けられておりません。そのため、期限内に申告が必要と言うわけではないので、油断していると、不意に移転価格調査が入った際にローカルファイルが準備できていないという事になってしまいかねないため、注意が必要です。

 

また、これに対し、年間取引額が1,000万INR以下の場合や上記に該当しない場合は、原則として文書の作成は要求されません。ただし、税務調査などにより価格が適正であることの証明を求められた場合には、関連者間の取引が独立企業間価格で行われていることを立証する必要があるので、年間取引額が1,000万ルピー以下であっても取引関連の書類を整備しておく必要があります。

 

続いて、外国企業である日本本社においても、関連者(Associated Enterprise)であるインド子会社(例)と取引がある場合は、ローカルファイルの作成が必要と言えますし、最低限グループ企業との取引内容が理解できる資料については本社でも保管が必要と言えます。

 

ただし、実務上の対応としては、外国企業においても毎年ローカルファイルを作成するのではなく、移転価格調査が入り、ノーティス等が届いた後にローカルファイルを作成するという対応を取られているケースも多いようです。

 

留意点としては、親会社の場合、ノーティスが届いたことに気が付かないというケースも散々されるため、確定申告を行う際の登録メールアドレスは会計事務所だけではなく、自社のメールアドレスを登録する又は会計事務所に対してそういった類のノーティスが届く際は必ず転送してもらうようにする等と言った対応が必要と言えます。

 

特に会計事務所を変更した場合は、数年前の会計年度に対する移転価格調査に関するノーティスが少し遅れたタイミングで届くことになるので、特に注意が必要と言えます。

 

以上になります。次回のブログでは、移転価格の3層構造アプローチの一つであるマスターファイルについて具体的に説明していきます。

 

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東京コンサルティングファーム インド・デリー拠点
田本 貴稔

 

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