インドにおける税務訴訟~税務調査と税務訴訟の流れ~

皆様、こんにちは
Tokyo Consulting Firm Private Limited(India)です。

本日は、前回に引き続きインドにおける税務調査について話していきます。
今回は税務調査と税務訴訟の全体感を掴むための内容となっております。

 

何故、税務訴訟はそこまで長期化するのか、また、税務当局から届くノーティスはどれくらい深刻なのか等、様々な疑問点があるかと思います。
今回のブログでは、インドビジネスを行う方にとって、このような疑問点をクリアにできればと思っています。

まず、税務調査の対象となるのは個人と法人の2種類に分けられます。

 

個人が対象となる場合は、基本的には個人所得税について過去の納税記録について、税務当局から質問がされる形になります。

こちらについては、税務当局から届くノーティスに応じて、必要書類を提出する等して、適切に対応する事で大抵の基本的な問題は解決できますが、稀に納税者自信が税務当局への訪問が必要となるケースもございます。

仮に訪問したとしても、過去に適切な納税を行っている場合は、その説明を行うだけになりますが、仮に適切ではない場合は別途納税やペナルティーを支払う必要が出てきます。

 

日本人駐在員はインド人と比較して、所得額が高いために、このような税務調査の対応となるケースが多く、会計事務所宛もしくは個人宛にノーティスが届くことも稀ではありません。
納税者としては、このようなノーティスが届く場合は、すぐに必要書類の提出等の対処を行う必要があります。

仮に迅速な対応ができない場合は、税務当局側からレスポンスがないと判断され、追加で納税が必要になる等の判断がされる形になってしまう恐れがあります。

 

次は法人のケースです。
法人の場合は、対象となる税金が所得税、移転価格となるケースがほとんどとなります。

GST統合以前のサービス税やVATに関する税務調査が既に進行中の例もあります。
GSTについては、2017年に導入されたばかりなので、現時点ではGSTに関するノーティスが届いたという例を聞いたことはありませんが、今後はGSTに関するノーティスが届くという可能性も考えられます。

 

続いて、税務調査と税務訴訟の流れについて、法人の所得税を例にとって流れを説明していきます。

 

上記の図が税務調査や税務訴訟を想定する上で、認識いただきたいカウンタパート名になります。

 

多くの企業が税務調査を経験しているかと思いますが、その理由は税務当局側が納税者である企業の所得税申告(ITR)の情報を基に、コンピューター支援セキュリティ選定システム(CASS: Computer Assisted Scrutiny Selection)にて税務当局が指定するアルゴリズム上で調査対象を選定し、確定申告を行ったメールアドレス宛にノーティス(通知)を送付します。

このCASSの評価基準には売上比較、利益比較、損失比較、異常値比較等があると推測することができますが、その評価基準は税務当局側の基準になるため、外部からの予測はほぼ不可能と言えます。

 

また、税務調査は、基本的には税務調査官への対応で終了となるケースがほとんどになります。

しかし、中には税務調査官が求める必要書類等を提出したとしても、税務当局側が主張を変えない場合があります。
その場合は、次の税務下級裁判所に不服申し立てをすることになります。

それ以降は、裁判所の判決に納得できない場合は、上の期間に不服申し立てを行うというプロセスが継続的に行われ、原則としては最高裁の判決が最終決定となります。

 

特徴としては、税務調査では税務当局側に有利な判定がなされる一方、税務高等裁判所等では納税者側に有利な判定がなされる傾向があります。
これは、膨大な税務調査が行われるインドの税務当局側のマンパワー不足や専門家不足による不合理な主張によるものであると分析をしております。

しかしながら、税務訴訟がエスカレートするにつれて、より時間をかけて案件が審査される形になり、グローバルスタンダードに近い判決がなされる傾向があります。

また、仮に税務調査が税務訴訟に発展し、最高裁まで不服申し立てを行う場合は、全体のプロセスを完結するまでには、約10~15年間の期間を要するといわれています。

 

この長期化を防ぐために、DRP(Dispute Resolution Panel)紛争解決機構の活用も1つの選択肢と言えますが、実際にDRPを用いて紛争解決を行った判例等を分析しながら、慎重に進めていくことが重要であるといえます。

 

本日は以上となります。次は、今年より導入されているFaceless Assessmentについて解説します。

Tokyo Consulting Firm Private Limited (India)ではインドビジネスについて、より詳しい情報を弊社の日本人コンサルタント、インド人勅許会計士・弁護士・会社秘書役がお答えします。
是非お気軽にご連絡ください。


~▶YouTuberになりました!~

弊社YouTubeチャンネル『久野康成の毎日が有給休暇!!』を開設いたしました!

「久野康成の毎日が有給休暇!!」では、代表の久野が作った365の金言を
『久野語録』として日めくりカレンダーにまとめ、内容を毎日解説していきます。

チャンネル名にある通り、「毎日が有給休暇」になるような生き方のツボとコツを発信しておりますので
ぜひ一度ご覧頂ければと思います!

また、代表の久野が執筆した
『国際ビジネス・海外赴任で成功するための賢者からの三つの教え 今始まる、あなたのヒーロー』
の解説を、執筆者自らが行っている「賢者からの3つの教え」シリーズもぜひご覧ください!


東京コンサルティングファーム インド・デリー拠点
田本 貴稔

 

※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報を基に、細心の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び弊社(株式会社東京コンサルティングファーム並びにTokyo Consulting Firm Private Limited, Tokyo Consulting Firm Human Resources Private Limited)は、一切の責任を負うことはありませんので、ご了承ください。

関連記事

ページ上部へ戻る