皆さま、こんにちは。バンガロール支店マネージャーの松波です。
今週は、インドにおけるMSMEの定義とベネフィット、登録要件等について、紹介したいと思います。
MSMEとは、「Micro, Small & Medium Enterprises」の略で、中小零細企業のことを指します。
2006年中小零細企業開発法(The Micro, Small and Medium Enterprises Development Act, 2006)では、製造業/サービス業ごとに、機械装置や工場への投資額により、中規模企業、小規模企業、零細企業の定義が定められておりました。以来、12年間、インドの経済状況が変わっているのにも拘らず、MSMEの定義に変更が見られませんでしたが、昨年度より、内閣から、以下のように定義の見直しが提案されています。
<年間売上高ベース>
中規模企業: 7500万INR~2億INR
小規模企業: 5000万INR~7500万INR
零細企業 : ~5000万INR
以前の投資額ベースの定義から年間売上高ベースの定義に変更され、それと同時に製造業/サービス業の区分も無くすことが提案されております。
定義変更の背景には、この12年間の間にインドルピーの浸食により、以前の定義が実態にそぐわず、機能しなくなった点が挙げられます。また、以前の投資ベースのMSMEの定義では、新たな参入企業にとって不利益が生じることになります。当時と現在では、同じ製品・同じ製造量を生産するために必要となる機械設備や工場設備への投資額が異なります。
新たな年間売上高をベースにした定義により、新規参入企業と古い企業間の不公平が解消され、また精査や証明のための手続きが簡素化されることが期待されています。
MSMEの登録には、DirectorによるAadhaar(アダール)cardの取得が必須です。また、Aadhaar cardの取得には、過去12カ月において、182日以上インドに居住していることが取得要件となります。
そして、MSME登録企業には、銀行からの無担保ローンが可能になる、特許登録について50%の補助金が得られるなど、いくつかのベネフィットが考えられます。
また、MSME登録をしている企業に対して、商品やサービスの買い手として、支払不履行や支払遅延を侵した場合、毎月の支払不履行額に対して、インド準備銀行で通知される利率の3倍の利率の複利計算で遅延利息が算出されるなど、厳しい条件で利息を支払う必要があるので、注意が必要になります。
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株式会社東京コンサルティングファーム インド拠点
松波 優大
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