派遣元企業との契約解消による当該従業員解雇時の手当て

労務

 

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東京コンサルティングファーム チェンナイ拠点の川本です。

 

私たち東京コンサルティングファームは27か国にて「第2の会計事務所」として経営コ
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ィング、研修コンサルティング、経理スタッフ派遣・紹介等幅広い業務を展開しておりま
す。

 

今回も実際にお客様から頂くご質問を取り上げます。
Q: 派遣元企業との契約解消による当該従業員解雇時の手当ては何ですか?
A: 会社都合による解雇は下記の手当を付与する義務があります。※会社都合でない場合も2~5は必須です。
なお、派遣元企業様との契約書において、当従業員の人件費は派遣元企業様が負担とするという文言を設ける場合、解雇手当にかかる総コスト(orその発生の可能性)も予め盛り込んで頂き、ご納得頂くのが保守的かと存じます。
1.会社都合による解雇手当
2.退職金
3.未消化有給休暇
4.未払給与
5.その他会社が社員に負う債務

 

1.会社都合による解雇手当
会社の組織改革、業績不振、会社清算による人員削減は「会社都合の解雇」ということになり、Industrial Disputes Act, 1947 Section25が定めるRetrenchment Compensation (会社都合による社員解雇に係る法定手当額)を付与することが義務付けられています。同条はWorkmanのみが受給対象となり。手当額は下記計算式で算出できます。
(勤続年数)×15(日)÷26(※1か月を26日の勤務日とみなす)×(月割CTC)
ちなみにCTCとは、Cost To Companyの頭文字を取ったもので、(会社の)社員に対するコストを表すインド所得税法上の考え方になります。大枠の構成は、給与総支給額(Gross Salary)、一時金(ボーナスなど)、会社負担分(社会保険料)となり、併せて CTC と考えます。一般的にCTCというと年間で社員にかかるコストを指しますが、ここではそれを12等分した月額CTCを用います。

 

2.退職金
退職金はPayment of Gratuity Act, 1972に定めがあり、1948年工場法上の「工場」に該当する企業、または10人以上の被雇用者が現に労働しているか、過去12ヶ月間のいずれかの日において労働していた事務所、店舗において、5年以上継続して勤務した被雇用者が対象になります。仮に従業員が事故または疾病により、死亡あるいは就業不能の障害を負ったことで退職する場合、勤続年数は問われないとされています。
支給金額ですが、月額基本給×15/26(日)×勤続年数で算出できます。
ここでいう月額基本給とは月額のBasic SalaryとDAを足したものになります。DAとはDearness Allowanceの略語で、物価調整手当額を指します。DAを支給していない場合、月額Basic Salaryを基に計算します。

 

3.未消化有給休暇
インドでは有給休暇はEarned Leave(EL)やPrivileged Leaveと呼ばれ、会社は従業員の退職時に未消化分の有給を買取る義務があります。
計算式は下記の通りです。
有給休暇買取り額= (月額Gross or Basic salary +DA)/ 26 ×未消化有給日数
月額GrossかBasicを基に計算するかは会社の判断に依ります。

 

4.未払給与
文字通り、従業員の退職時に会社は未払分の給与を支払う義務があります。例えば末締め15日払いの会社の従業員が、月の半ばで退職した場合は、当月の勤務日数をカウントして給与を支給しなければなりません。また、インドではnotice period(通知期間)と呼ばれる、退職が決定してから実際に退職するまでの期間が設定されていますが、この期間分も給与は発生します。

 

5.その他会社が社員に負う債務
事業活動を行う上で、会社に代わり従業員が立て替えた金額は解雇前に経費精算する必要があります。同様に会社側は会社支給のPCや携帯、Simカード、作業着、その他備品を従業員より回収する権利があり、回収できない場合は相当額を従業員の解雇手当や給与から控除することができます。

 

ここには書ききることができない必要書類に関することや一般的な流れでは難しいイレギ
ュラーなケースなど個別具体的なご相談についてはいつでもご相談いただければ存じます。

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それでは今回は失礼致します。

 

 

 

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東京コンサルティングファーム インド・チェンナイ拠点

川本 潤(かわもと じゅん)

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