皆様 こんにちは
東京コンサルティングファーム・インドの塚本です。
2009年6月、大手電機メーカーのベトナム子会社に出向中の社員が、約8億円を横領し、行方不明になるという事件が起こりました。この事件により、日本から直接目の届かない海外子会社の運営には、海外子会社の潜在的なリスクの高さを念頭に置かなくてはならないことを、改めて思い知らされることとなりました。今や、多くの企業が海外展開していく中、遠く離れた子会社の管理については、経営陣の頭を悩ませる要素が多くあります。現地側に任せすぎると内部統制の構築が出来ておらず、長い期間を経て思わぬ不祥事が明らかになるケースも珍しくありません。会社が大きくなってから、突然、内部統制を構築し、運用していくことは思った以上に難しくなるものです。有効な内部統制の構築と運用のための労力を削減できるよう、将来を見据えた子会社のマネジメントを行っていくことが企業の長期的な利益に繋がると考えられます。
営業活動に注力している現地駐在員に管理業務やその構築を任せることは、企業活動として必ずしも効率的とは言えません。むしろ外部の専門家などのリソースを積極的に活用していく方が効率的な場合もあります。
海外子会社の内部統制は、日本での内部統制とは注意すべき点が異なります。
まず、日本との文化の違いに注意しなくてはなりません。日本では当たり前と思っていることが、必ずしも海外でも通用する常識とは限らないので、そうした点を考慮した統制を整備する必要があります。
また、誰に対しての統制かという点にも留意が必要です。統制の対象が日本語を使わない現地の人である場合、規定を現地で使用されている言語に翻訳する必要があるからです。あるいは、管理者に対してのみの統制で、管理者を全員日本人とするなら、日本語の規定のみで十分ということになります。
しかし、最も現実的なのは管理者を対象とした統制を整備し、管理者には英語を使う現地の人を採用することでしょう。
内部統制の整備及び運用の重要性やその際の注意点を述べてきましたが、あくまでも内部統制はビジネスを円滑に進めるためのサポートの役割を担うことを忘れてはなりません。リスクを極度に減少させようとして過剰な統制を行うと、逆に事業活動の障害ともなり得ます。統制のための費用がリスクを減少させる便益を上回らないよう、バランスの良い統制を構築し、運用していくことが重要です。
今週は以上となります。
最後までお読み頂きありがとうございました。
株式会社東京コンサルティングファーム インド拠点
塚本 沙樹
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