皆様、こんにちは、Tokyo Consulting Firm Private Limited(India)です。
本日はインドにおける、監査人の変更についてみていきます。
日本と異なり、インドでは監査人の権利保護が厳しくなっているため、期中での監査人の解任は監査人の同意を得られない限り難しくなっています。
監査人の変更手段としては大きく下記の3つがあります。
①定時株主総会での解任
- 定時株主総会開催日の21 日前までに、監査人交代の議題を付したNotice(日本でいう株主招集通知書)を取締役から株主および現監査人に送付する
- 定時株主総会で監査人交代の議決を取る
- 新任監査人に監査人選任のためのアポイントメントレターを提出する
- 株主総会決議後30 日以内に、監査人選任に関する決議を会社登記局へ報告する
②臨時株主総会での解任
- 臨時株主総会開催日の21 日前までに、監査人交代の議題を付したNotice を取締役から株主・現監査人・中央政府へ提出する
- 臨時株主総会で監査人交代の議決をとる
- 中央政府が株主および現監査人を招集し、ヒアリングを行う
- Notice の送付から中央政府の許可がおりるまで、3 ~ 6 カ月かかる
③監査人からの辞任
- 現監査人から、取締役へ監査人辞任の申出を行う
- 現監査人辞任および新監査人選任の議題を付したNotice を臨時株主総会開催日の21 日前までに株主へ送付する
- 臨時株主総会で、議決をとる
- 新任監査人へアポイントメントレターを提出する
- 臨時株主総会開催後30 日以内に会社登記局へ報告する
②の場合は、中央政府の許可を取らなければなりませんし、承認までに時間がかかることを考慮しなければいけないことから、実務上はあまり用いられない方法になります。
③の場合は、監査人から辞任の申出を受ける必要があります。
さらに、実務上の注意点としては、定時株主総会にて監査人の選任を行ったばかりですと監査人が(1)辞任の申出を断るもしくは(2)辞任時期を故意的に遅らせるという可能性が考えられます。
これは日本人からすると、考えにくい実態ですが、監査人の権利保護が強いインドならではの現状と言えるかもしれません。
以上になります。
Tokyo Consulting Firm Private Limited(India)ではインド法務について、より詳しい情報を弊社の日本人コンサルタント、インド人会計士がお答えします。
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東京コンサルティングファーム インド・デリー拠点
田本 貴稔
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