皆さん、こんにちは。
今週と来週の2週に渡り、ECBローンについて触れたいと思います。
ECBローンを運転資金に回せるようになったのは周知の事実ですが、実際にECBローンを行う際には様々な規制
があります。それは例えば認可ルートや、限度額、借主の資格などです。
そこで今回はECBについて可能な限り簡潔にまとめてみました。
【ECBの概要】
ECBはExternal Commercial Borrowingsの略語で、日本語訳すると対外商業借入となり、
非居住者が提供する銀行借入、バイヤーズ・クレジット、サプライヤーズ・クレジット、外貨建て転換社債(FCCB)、外貨建て転換条項付き社債(FCEB)、ファイナンス・リース、証券化株式による商業借入のことを指します。
【分類】
為替変動リスク特性によって、対外商業借入は下記のように分類されています。
トラックⅠ:中期の外貨建て・平均借入期間が3年・5年
トラックⅡ:長期の外貨建て・平均借入期間が10年
トラックⅢ:インドルピー建て・平均借入期間が3年・5年
【認可ルート】
インド準備銀行の認可が不要な自動認可ルート(※1)
インド準備銀行の事前認可を必要とする政府認可ルート
(※1)自動承認ルートが認められている特定のECBローンは以下の3つです。
(1)製造業、インフラ、ホテル、病院、ソフトウェアの各産業に属する企業が、間接株主やグループ企業からECBを行う場合
(2)一部のサービス業者※が、直接株主、間接株主、グループ企業からECBを行う場合
※ 一部のサービス業者とは、人材開発(教育機関を除く)や研究開発、インフラ周辺産業を指す。貿易業、運輸業、金融業、コンサルタント業は含まれない
(3)製造業、インフラ、ホテル、病院、ソフトウェアの各産業に属する企業が、直接株主から運転資金目的でECBを行う場合
自動認可で受けることができる借入の限度額(年度)
インフラ事業および製造業を行う企業、インフラ金融向けノンバンク(NBFC-IFCs)、アセットファイナンス向けノンバンク(NBFC-AFCs)、持株会社と純粋投資会社は7億5,000万ドルまたは相当額
ソフトウェア企業は2億ドルまたは相当額
マイクロファイナンス事業を行う企業は1億ドルまたは相当額
残りの企業は5億ドルまたは相当額
上限額を超過する場合
インド準備銀行からの事前認可を必要とし、外国株主からECBを受ける場合には、限度額とともに、自己資本比率に関する規制が適用されます。
ECBを自動認可で受ける場合には、外国株主に対するECB(残高および実行予定額を含む)は、当該外国株主が出資した資本金の4倍以下。
ECBを事前認可で受ける場合には、当該規制は7倍以下となる。これは、500万ドル以下(または相当額)のECBには適用されません。
これらの限度額は、インド国外でのインドルピー建て債券発行制度とは別となります。
海外向けインドルピー建て社債(Indian Rupee Denominated Bonds Overseas)
インド居住者である法人は、Financial Action Task Force(FATF)加盟国でインドルピー建て普通社債を発行できる。当該社債は、該当国にて私募債、あるいは証券取引所に上場することで発行できます。
当該社債を発行する場合、承認取引銀行(AD Bank)経由でインド準備銀行の外国為替部門(ムンバイ)の承認を得る必要があります。海外向けインドルピー建て社債の発行は、企業債務への外資の総限度額2兆4,432億3,000万インドルピー以内でなければなりません。
本日は以上です。
Tokyo Consulting Firm Private Limited
チェンナイマネージャー
中村 匠吾(なかむら しょうご)
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