皆さんこんにちは。インド駐在員の中道です。先日、インドで日本料理のレストランに勤めている方と話していたときの話です。
インドで日本料理を提供するのは他の国よりはるかに難しいという話をききました。彼自身は以前ニュージーランドで同じく日本料理のシェフをしていたそうなのですが、まずは食材の少なさと日本料理に必要な調味料、野菜、肉の品揃えの悪さが一番の理由だそうです。たとえ野菜の種類が手に入ったとしても、食材そのものの大きさを活かす盛り付けは難しいとのことでした。たとえば、野菜の大きさや数がいつもばらばらで、食材を器にして提供するにも毎発注ごとにバラバラな大きさや時に品種も違うものが届くのでおしゃれな盛り付けも難しいということでした。
そういえば工場を見学させてもらったときも、荷物が届いたらひたすら発注伝票を元に数を数え、種類を確認するという専門の人間をおいてそのチェックのあとに倉庫にしまうということを行っている企業がありました。
このようにインドローカルの業者を使っていると、正確な数字、種類が保たれない状態が続きそれが経営を圧迫したり、余計な人権費をかけることになるのだそうです。正直受け取ったこちらの責任というのが業者の言い分なのでしょう。
話を元に戻しますが、その日本料理レストラン勤務の方がどのような日本料理を食べたいか話したときに肉の話をしました。鶏肉の中でも内臓系の料理をリクエストしたのですが、この国の血抜き作業や鳥肉の安全性を考慮して提供が難しいという結論になりました。完全に安全といえるものだけしか提供はできないとのことでした。
私はこのとき顧客の要求にもしっかり理由を述べ断る彼の姿を見て、食の安全について改めて考えさせられました。人に料理を振舞う責任をしっかり感じて、このような対応と判断が的確にできること。だからこそ私たちは異国でも安心してそのレストランを利用できるし、顧客を連れて行くこともできるということを改めて実感しました。
ここからは私の個人的な意見となりますが、私は日本人とインド人の違いとしてこうした企業としてのモラルが保てるかや接客やサービス提供時と提供後の誠実さにかける対応の悪さがインド人の性格に影響しているような気がします。正直であることや誠実さがときに損をすることがあるのです。正しいことを言ってもそれが遅かったり、受け入れてもらえないことが社会的に重なってしまって彼らの人格にも影響しているのかもしれないと感じることもしばしばです。もっと社会的に個人事業主でも、社会的に責任を負う、顧客のニーズを聞き入れることをしていけば変わっていくのかもしれません。今のインド社会に不平不満を言っても仕方ないですし、彼らはそれが普通というレベルで育ったのだから仕方ありません。ですが、日本企業内に勤めるインド人にはモラルというものをしっかり教えて、日本人のような商品提供時に安全や顧客が求めるレベルの正確さを守れるように教育が必要だと改めて感じることとなりました。