インド駐在員の今西です。来年からは日本勤務に戻り、M&A業務にあたります。もともとインドに興味があったからインドに来たのですが、来てみてがっかりした事が多々ありました。IT大国の割に、超低速インターネット、食事はクレイジースパイシーで刺激物以外にない。腹痛の時に、低脂肪でスパイシーではない食事をとって下さいと言われた時に、「じゃー何食えちゅうねん!」と思ったことがあります。
さて、インドの何に興味があったかというのは、実は経済発展でも、ボリウッドでも、カレーでもなく、表題のアマルティア・センという経済学者に興味があったのです。これを某社の取締役の方に話したら「あっそー、それはずいぶん不純な動機だねー」と言われた私は「そーですね、てへ」としか答えられなかった覚えがあります。
みなさんはアマルティア・センについてご存知でしょうか。アジアで初のノーベル経済学賞受賞者です。しかし、それが理由で尊敬しているわけではありません。彼の経済学に対しての姿勢が好きだからです。経済学を使って、貧困や不正義、民主主義等の分野で学術的な発展を促しています。それは、従来の経済学の枠組みでは十分に捉えられなかったあるいは、捉えられていたとしても人間が持つ利他的な側面を排除したやや現実離れしたものだったように思います。既存の経済学に対する深い理解とそれに対する広い視点からの批判が私にとって素晴らしいと思えるのです。もちろん彼の仕事の半分もまだ理解できていませんが・・・。
私は現在、仕事をする傍らで彼の先行研究を学びながら、貧困の可視化や福祉制度の適切な構築について研究しています。将来は、自分で公益社団法人を設立し、日本をはじめとする豊かな国でマイクロファイナンスというか非営利金融をやりたいと思っています。豊かな国の貧困の問題は目に見えにくい為に深刻です。それを何とかしたいという事です。
最後に、彼の著作を読んだ際に知った選好順序と選好の表明に関しての面白い話しを一つ。「仮に良き夫と妻がいたとして、ケーキが2つあったとする。良き夫は妻の選好を知り尽くしている。この場合に、よき夫が先にケーキを選ぶ際に自分の選好と反対のケーキを選ぶ事がありうる。なぜなら、そのケーキは妻の好物のケーキだと夫が知っているから。」通常の経済学では夫は自らの選好に従い、自分が最も好むケーキを選ぶ事が合理的と考えられますが、その逆も当たり前のようにありうるという事です。
しかし、未婚の私はこの例に別の意味を見出します。それは「もっと女性に気を使わないとあまりモテない」ということです。婚活をするに当たっては肝に銘じたいと思う話です。アホな事はさておき、またブログ記事を書く事があればきちんと彼の先行研究について触れながら、インドの貧困問題について語るぐらいの事が出来れば良いなと思います。
まとまりがない話しですが、以上です。