タミル・ナードゥ州で24時間営業が解禁


皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループインド拠点の北岡 光里です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「タミル・ナードゥ州で24時間営業が解禁」についてお話していこうと思います。

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タミル・ナードゥ州で24時間営業が解禁

 インド南部の主要産業州タミル・ナードゥでは、2025年6月5日より、従業員10名以上の店舗・事業所に対し、年中無休・24時間営業が正式に許可されました。この措置は2025年5月8日に発表された州政府の通知に基づき、今後3年間有効です(早期撤回の可能性あり)。

この政策は、インド中央政府の「モデル店舗・事業所法案(2016年)」とも連動しており、企業活動の柔軟性向上とビジネス環境の整備を目指すものです。


1. 背景と法的根拠

 この規制緩和は、1947年制定のタミル・ナードゥ州店舗・事業所法第6条に基づいています。もともとは営業日や営業時間に関する厳格な制限(週1回の定休日や営業時間制限)がありましたが、今回の緩和により以下の条項が免除されます:

  • 第7条(1):営業時間の制限解除
  • 第13条(1):週1日の休業義務の免除

これにより、店舗や飲食店、IT企業、サービス業など幅広い業種で、合法的に24時間営業が可能になります。


2. 運用条件と企業の義務

 ただし、無条件に営業が認められるわけではありません。営業継続のためには、以下の厳格な労働法コンプライアンスが求められます:

  • 勤務時間管理:
    • 1日8時間・週48時間が基本労働時間
    • 最大でも1日10.5時間、週57時間を超えないこと
    • 超過分はすべて**割増賃金(時間外手当)**として支払い必須
  • 休日・勤怠管理:
    • **週1日の休暇(交替制可)**を必ず与えること
    • 休暇・出勤者リストは職場の見やすい場所に掲示
  • 賃金の支払い方法:
    • 給与および時間外手当は、必ず銀行口座へ振込で支払うこと(現金手渡しは禁止)
  • 書類整備:
    • 「Form S(勤務記録)」の整備と常備
    • 法定記録(出勤簿・休暇簿など)を掲示

これらを怠ると、労働監督官による是正指導や罰則適用の対象となるため、体制整備が不可欠です。


3. 女性従業員に対する保護措置

 タミル・ナードゥ州は女性従業員の深夜勤務に関しても明確な規定を設けています:

  • 20時以降の勤務は本人の書面同意が必要
  • 20時~翌6時の間に勤務する女性には、安全な送迎手段を会社が手配
  • 送迎の有無を職場入口に掲示
  • セクハラ防止委員会(ICC)の設置が必須(全従業員対象)

これらの措置は、インドで女性の社会進出が進む中で、企業にジェンダー配慮と安全対策を義務付けるものです。


4. インフラ整備と職場環境の義務

 24時間営業を行う企業は、従業員が安心して働けるよう、以下の基本設備を職場に整備することが求められます:

  • トイレ、洗面所、休憩室
  • セキュリティロッカー
  • 常時利用可能な緊急連絡体制

特にIT・BPO・製造業での夜勤シフト導入にあたっては、職場環境の衛生・安全対策の徹底が不可欠です。


5. 他州との比較とビジネスチャンス

2025年7月現在、24時間営業を制度として認めているインドの州は、タミル・ナードゥとカルナータカの2州のみです。カルナータカ州でも、2024年9月からIT産業支援を目的に同様の政策が導入されました。

これは、小売、飲食、Eコマース、物流、IT/BPOなどにとって大きなビジネスチャンスとなる可能性があります。特に夜間経済(ナイトエコノミー)や外国人観光客をターゲットとしたサービス展開において、柔軟な営業体制は競争力の鍵となります。

タミル・ナードゥ州での24時間営業解禁は、ビジネスの可能性を広げると同時に、企業の雇用管理・法令順守力が問われる制度です。

進出検討段階でも、労働関連法令や24時間営業の可否は、投資先評価や事業計画の前提条件となる要素です。現地専門家との連携のもと、制度に即した柔軟な事業戦略を構築することが、必要になるでしょう。

本日は以上になります。

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