勤務時間の振替について

こんにちは。
東京コンサルティングファーム・ブラジルの田村彩紀です。
今週は、勤務時間の振替に関して記載をいたします。

質問)
2017年の労働法改正により、勤務時間の振替の決まりに変更点があったと聞いております。
詳細を教えていただけますでしょうか。

回答)
ブラジルでは、ご存知の通り、2017年11月に、統一労働法(CLT:Consolidação das Leis do Trabalho)が改正されました。勤務時間の振替についても、内容が一部変更しておりますので、変更内容を中心にご説明をさせていただきます。

まずはじめに、勤務時間の振替に関わる制度、主に2つの制度ございます。

– 相殺制度
– 勤務時間ストック制度

勤務時間を相殺した・振替えた場合、超過勤務手当の支払いは行わなくてよい、というのがどちらの制度にも共通するものとなります。
細かな点については、一部決まりごとが異なりますので、以下の表を確認いただけますと幸いです。

制度名(日) 相殺制度 勤務時間ストック制度
制度名(葡) Compensação Banco de horas
概要 超過勤務時間があった場合、超過勤務手当の支払いをする代わりに、別の勤務日に時間を短縮し、相殺する制度。 超過勤務時間を他の勤務日に振替た場合、超過分の手当の支払いが免除される制度。もし、超過勤務分を振替えられない場合は、超過分を残業代として支払う必要がある。
組合協定・協約の必要性 不要 必要

(ただし、半年以内の振替については不要。4

改訂による変更点 ・書面による合意だけでなく、口頭での合意でも効力をもつ。1

・相殺期限は、1か月以内。2

・習慣的な超過勤務がある場合でも、この制度の適用可能。3

・左項の3

・上記の4

 

なお、米印(※)の箇所については、原文を下記に記載しておりますので、併せてご確認いただければと存じます。
※1 O não atendimento das exigências legais para compensação de jornada, inclusive quando estabelecida mediante acordo tácito, não implica a repetição do pagamento das horas excedentes à jornada normal diária se não ultrapassada a duração máxima semanal, sendo devido apenas o respectivo adicional. [CLT 59-B条] ※2 É lícito o regime de compensação de jornada estabelecido por acordo individual, tácito ou escrito, para a compensação no mesmo mês. (NR) [CLT59条6項] ※3 A prestação de horas extras habituais não descaracteriza o acordo de compensação de jornada e o banco de horas. [CLT 59条 単項] ※4 O banco de horas de que trata o § 2o deste artigo poderá ser pactuado por acordo individual escrito, desde que a compensação ocorra no período máximo de seis meses. [CLT 59条5項]

統一労働法の改正により、改正前よりも、勤務時間の振替はより柔軟に対応できるようになりました。一方で、振替が行いやすくなった分、管理の手間がかかり、特に、口頭でのやり取りに関しては、「言った・言わない」のやり取りが発生しないよう、書面にてやり取りを残しておくのが良いと考えられます。

以上、ご参考にいただければ幸いです。

お読みくださりありがとうございます。

 

株式会社東京コンサルティングファーム・ブラジル拠点

田村 彩紀

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