今週はブラジル税務について記載いたします。
【質問】
そもそも、Bloco Kとはなんですか?
【回答】
ブラジルには、企業の経済活動を管理する目的で導入されたSPED(Sistema Público de Escrituração Digital)というシステムがあります。SPEDは、法規(Decreto nº 6.022, de 22 de janeiro de 2007)よって採択され、政府管轄で現在までそのシステム領域を少しずつ拡大してきました。SPEDには、領域/役割に応じて異なるモジュールが存在します。例えば、公的な請求書(Nota Fiscal)を発行するモジュールであるNF-e(Nota Fiscal Eletrônica)もその一つです。
本題のBloco Kは、税務を担当するモジュールであるEFD(Escrituração Fiscal Digital)を構成する「ブロック(Bloco)」となります。レベル分けをすれば、
000 SPED
010 EFD
011 BLOCO C
012 BLOCO D
といったイメージでしょうか。
EFDを構成するBlocoは、Bloco 0 / Bloco C / Bloco D / Bloco E / Bloco G / Bloco H / Bloco 1 / Bloco 9があり、ここに新しくBloco Kが2016年1月1日より加わることになります。
EFDは主にICMS(商品流通税)とIPI(工業製品税)を管轄しており、その構成要素である各Blocoは、当該ICMS、IPIを正しく申告するために必要な情報を要求しています。今回新しく追加導入されるBloco Kは、大枠は製品原価に関する情報です。現在運用中のEFDの各Bloco及びSPEDについては、販売における原価や売価、利益等の監視は可能ですが、製造原価の情報の妥当性・整合性は企業の裁量による所が大きいといえます。また、ブラジルにて登記されている企業の90%以上を占めるLimitadaのうち、殆どの企業は法定監査が必要ないため、実情はブラックボックス化していた分野でもあります。
ブラジル税務当局は、Bloco Kを運用することによって各企業で正確な製造原価を算出し、正確な利益を測定すること、また、正確にICMS、IPIを正確に申告することを期待しています。現在までの経緯、ブラジル政府の体制、ブラジル企業の体制と余力を鑑みると、一体どこまで現実的に対応が可能なのか、不安も多分に残る事項ですが、法的に要求されているため、対象企業は対応が必要となります。
次回は、「Bloco Kに必要となる情報」について説明します。
以上
Tokyo Consulting Firm Limitada
Diretor Presidente
金内 陽