FGTSについて

労務

こんにちは。 東京コンサルティングファーム ブラジル駐在員の金内です。

今週はブラジル労務について記載いたします。

 

ブラジルには、FGTS(Fundo de Garantia do Tempo e Serviço)という勤続年数補償基金があります。1967年に連邦政府によって制定された制度で、労働者の解雇事由などを補償する基金です。

納付額は、各従業員の月の給与支給額(欠勤控除などを差し引いた給与額)に対して8%、企業負担分のみとなり、従業員負担はありません。法律(Lei nº 11.180 de 23 de Setembro de 2005)に規定のある教育・職業訓練プログラムの適用者は、給与支給額の2%の企業負担となります。対象となる従業員は、ブラジル労働法(CLT:Consolidação das Leis de Trabalho)規定の正規雇用の従業員に加え、期限付きの短期労働者、フリーランス契約のサービスプロバイダーも含まれます。また、従業員を昇格させて役員とした場合(diretor não empregadoとした場合)、雇用契約は一時的に停止しますが、労働者の権利に基づき引き続きFGTSの対象となります。

企業負担となる納付金は、従業員名義で開設されたFGTS専用の銀行口座に毎月必ず預金されます。納付の期限は、毎月7日までとなります。預金先の銀行口座は、CAIXA銀行に開設され、最初に就業する企業が口座開設の責任を負います。雇用先の企業が変わっても、当該CAIXAのFGTS口座は変更されず、そのまま次の雇用先に引き継がれていきます。

 

FGTSの積立金が引き出される要件は、従業員が正当な理由なく解雇された場合(つまり、企業の一方的な都合で解雇された場合)、年金の受給が開始された場合(つまり、所得の発生する就業活動を将来に渡り行わない場合)、70歳に達した場合、本人が死亡した場合、FGTSの納付を3年間以上行わない場合となります。企業都合で解雇する場合は、解雇通知書(TRCT:the Termo de Rescisão do Contrato de Trabalho)にその旨を明記し、FGTSの積立残高に40%を加算した額を企業が従業員に支払う義務が発生します。

 

実際の納付手続きは、まず、社会保障制度におけるFGTS登録システムであるSEFIP(the Sistema Empresa de Recolhimento do FGTS、informações à Presidência Social)に登録を行い、Conectividade Social programを通してCFE(Caixa Econômica Federal)への報告およびFGTSの支払証憑(GFIP /GRF)を打ちだします。そしてその支払証憑を使用し、インターネットバンクにて納付の処理を支払期日までに行います。

 

FGTSは、上記説明の通り、全て企業負担で賄われ、解雇事由によっては直ぐに受け取る事が可能です。そのため、経済的に困っている従業員や、転職のタイミングに旅行に出かけたい従業員などは、企業側に交渉し、企業都合の解雇とするように持ちかけるという事が多々起こります。「将来的に企業に対して訴訟を起こさない」等の条件を提示してくるケースが一般的なようですが、まずは専門家に相談し、然るべき対応を取ることをお勧めいたします。

 

 

以上

 

 

Tokyo Consulting Firm Limitada

Director

金内 陽

 

 

【お知らせ】

現地駐在員によるブラジル進出セミナー

 《東京》2014年12月18日(木) 開催!

 本ブログの筆者となりますブラジル駐在員 金内が日本に帰国し、下記にある平成26年12月18日(木)当社主催のブラジルセミナーの講師としてブラジル事業実務について解説致します。

 ブラジルビジネスをお考えの企業様および既にブラジルにて事業を行っている企業様にとって有益な情報を提供致します。

当社 ブラジルセミナー紹介ページ
(セミナー受講のお申し込みは以下URLよりお願い致します。)

http://www.jin-zai.co.jp/seminar/su_seminar/2014/12/20141218k.html

主なセミナーアジェンダは以下のとおりです。

1.ブラジルの投資環境
(1) ブラジルの基礎知識と最近のトピックス
・基礎知識と経済概況
・日系企業情報と事業モデル
・ブラジル進出における注意事項
(2) ブラジルの日系企業情報
・投資メリットと課題
(3) 投資規制とインセンティブ
・禁止業種
・投資規制
・投資インセンティブ(地域別・産業別)
(4) 投資規制とインセンティブ
・有限責任会社の会社設立スケジュール例
(5) 進出形態と会社設立のスケジュール
・法人管理における留意点
・採用における留意点
・商習慣における留意点
・駐在員赴任時における留意点
2.ブラジルにおける税務制度
(1) ブラジル進出に関わる税務規定
・進出にかかわる主な税務規定

  ・移転価格税制の概要

 (2)ブラジルにおける会計・税務制度

  ・租税法の体系

  ・個人所得税・法人所得税

  ・ISS(サービス税)
・IPI(工業製品税)
・ICMS(商品流通サービス税)
・PIS/COFINS(社会統合基金/社会負担金)

3.ブラジルの労働環境
(1) 労働環境
・ブラジルの労働組合
・ブラジルの賃金(産業別賃金・最低賃金)
(2)労働法
・ブラジルと日本の労働基準の比較

  ・ブラジル特有の給与手当
・ローカル人材採用における注意点
(3) 社会保障制度

以下、講師紹介となります。

Tokyo Consulting Firm Limitada Brasil(GGI メンバー)
Director
金内 陽(かなうちよう)

皆様のセミナー参加を心よりお待ちしております。

<新サービス登場>

                          

海外進出質問サービス

 

関連記事

ページ上部へ戻る