バケーション休暇について

労務

こんにちは。 東京コンサルティングファーム ブラジル駐在員の金内です。

今週はブラジル労務について記載いたします。

 

ブラジルには、バケーション休暇(年次休暇)があります。通常1年間勤続した従業員が取得する権利を得るもので、取得日数は以下の通りです。

欠勤日数/年

欠勤日数/年 取得バケーション日数
5回以下 30日間
6回~14 回 24日間
15回~23回 18日間
24回~32回 12日間
※有給休暇を消化させられない場合は、会社はその時間を買戻す必要がある。
※ブラジル労働法(以下CLT)第473条に規定のある慶弔休暇の場合は、上記欠勤には含まれない(CLT第131条Ⅰ)
※社会保障機関認定の出産・合法中絶に伴う休暇については上記欠勤には含まれない(CLT第131条Ⅱ)

 

当該休暇は、ブラジル労働法(以下CLT)129条で権利が規定され、130条以降に取得の条件やその他規定が定められています。

CLT133条/第139条において、会社都合で従業員が当該休暇を使用する場合は規定されています。これは、製造業が年末等の大型連休の際にシャットダウンを行う場合などが該当する規定です。労働省管轄の労働組合等各機関に対して15日以上前に事前申請を行い、業務の一部/全部の稼働を停止する旨を告知、各機関からの承認が下り次第に、従業員に対して休暇の取得を指示することが可能となります。通常は、1年間勤続した従業員が得る権利ですが、本条に定められている理由によって休暇を取得する場合は、勤務開始日から取得までに積算されている休暇(計算値)を前倒しで取得、使用することになります。取得期間は、通常のバケーション休暇と同様、10日間以上である必要があります。

集団的に一部/全部の稼働を停止するという事は、勤続期間の短い従業員も対象となるので、積算された休暇(計算値)が10日間に満たない場合が発生します。この場合は、欠勤扱いでは無く、企業が不足分を無償でバケーション休暇として付与することになります。労働法の考え方は、企業都合で従業員に差を設ける、経済的な不利益を与えることが無いように規定されています。バケーション休暇を取得した時点より、次の取得期間の計算が始まりますので、集団的に休暇を取った全社員が、同じバケーション休暇の計算期間を持つことになります。

 

会計上、従業員バケーション休暇引当金として従業員に付与される有給休暇権利日の日数に対応した金額を引当金として計上した場合、税務上の損金として認められます。ただし、各個人に対して計算した金額が認められるだけであり、バケーション休暇権利日に基づかない予想額で計上する場合は、損金計上が原則認められません。

 

年末年始に向けて製造業企業が大型の稼働停止期間を設けることは珍しくないため、現在多くの企業が組合との調整を行っています。また、サービス業に就業している従業員にとっても、年末年始は一般的にバケーションシーズンであり、特に年明けからカーニバル(2月末~3月初旬)までの期間に当該休暇を取得する方が多い様です。南半球に位置するブラジルは、年明けからカーニバルにかけて夏真っ盛りであり、政府機関を含めたブラジル企業全体の操業度が70%程度に落ち込むと言われています。特に政府機関の対応が遅くなることが予想されるため、法人設立やVISA取得などを予定している企業は、より十分なスケジュールを立てることをお勧めいたします。

以上

 

 

Tokyo Consulting Firm Limitada

Director

金内 陽

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(1) 労働環境
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(2)労働法
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Tokyo Consulting Firm Limitada Brasil(GGI メンバー)
Director
金内 陽(かなうちよう)

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