移転価格税制
近年、企業グループ間での海外取引が増加する中で、移転価格への対応が求められてきております。
BEPS (=Base Erosion and Profit Shifting)の行動計画は、OECD (経済協力開発機構)が、
軽課税国等への利益移転を防止する目的で企画・立案したものですが、
日本及び諸外国では、2016年からこの対策を盛り込んだ税制が導入されました。
また近年、新興国での取引においても移転価格の対応が重要になっております。
移転価格文書とは
BEPS行動計画13で定められた移転価格文書は3種類に分けられます。
① 国別報告書(Country by Country Report)
② マスターファイル(Master File)
③ ローカルファイル(Local File)
① 国別報告書(Country by Country Report)
・企業グループの国別での財務情報・事業活動等を記載
・所得、納税額、経済活動等、国別に記載することでグローバルな配分に関する情報を記載
※税務当局によるハイレベルな移転価格リスク評価を目的としている。
② マスターファイル(Master File)
・企業グループ全体に共通する基本情報として、事業活動や移転価格ポリシーを記載
・事業分野ごとや、全事業分野を含む文書を作成する
※税務当局が移転価格リスクの所在を検証できるようにする。
③ ローカルファイル(Local File)
・マスターファイルを補完するための資料となる。
・当該国の納税者が独立企業原則に即していることを説明するもの。
他国の移転価格税制について
移転価格税制は、各国独自の課税権に関する法律であるため、国によってその対象範囲などに若干の違いがあります。もっとも、OECD加盟国については、概ね各国ともにOECDガイドライン準拠しているため、似たような基準にはなっています。
例えばインドにおける移転価格税制の特徴として、以下のような点が挙げられます。
①独立企業間価格(ALP)の検証方法
通常、企業間価格の算定にあたっては、複数の算出値の平均が独立企業間価格として取扱われることになります。しかし、インドでは独立企業間価格のレンジ(許容幅)が設定されており、そのレンジの範囲内に納税者側の移転価格が収まっているかどうかで、その移転価格が税務上妥当かどうか判断されることになります。
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