フィリピンにおける当期税金と繰延税金の扱い

税務

皆さん、こんにちは。

フィリピン・マニラの近石です。

今週のブログでは、フィリピンにおける当期所得税に一定の税率を乗じた金額である当期税金と、貸借対照表に計上されている資産・負債の金額と、課税所得計算上の資産・負債の金額である一時差異に税率を乗じて計算される税金である繰延税金の扱い方の日本との違いを説明させて頂きます。

 繰延税金資産(繰延税金負債)を噛み砕いて説明すると、将来の会計年度に還付(納付)される法人所得税額のことを言い、将来の税金額が少なくなる又は多くなる場合には、繰延税金資産・繰延税金負債を当期に認識しなさいというものです。

 フィリピンの会計基準である国際会計基準(IFRS)と日本基準では下記の点で異なるため、日本の親会社によっては修正が必要になることもあり留意する必要があります。

・IFRSでは繰延税金資産・負債は、全て非流動項目、すなわち固定項目として表示します

・日本基準では、関連する資産・負債の分類に応じて、流動資産・負債又は固定資産・負債のいずれかに分類します。

 繰延税金負債(将来税金を払う項目)については、全額と負債として認識されますが、繰延税金資産は収益として認識されるため、繰延税金資産を無制限に認識できると考えると、最終損益が赤字であるのに税金項目で黒字になるということが生じてしまいます。これでは、正確に会社の状況を反映した財務諸表の作成は出来ません。

 このような矛盾を解消するために、繰延税金資産の計上は将来の差異解消時に課税所得を減少させて税金負担額が軽減できると認められる範囲でしか行うことが出来ません。

 例えば、繰越欠損が100あるとして、将来のその期間に発生する課税所得が60しかない場合、将来使用できる繰越欠損は60のみで、残りの40は使用できません。そのため、この60の部分のみを繰延税金資産として認識することとなります。

 上記のように繰延税金資産については、回収可能性を検討しなければいけません。

 回収可能性を判断する上では、下記の基準を当てはめて検討されます。

・十分な将来加算一時差異(繰延税金負債)があるか

・十分な課税所得があるか

・タックス・プランニングは実行可能か

このことは日本の会計基準にも当てはまり、その判断基準として企業会計基準委員会が「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」を定めています。

今週もどうぞよろしくお願い致します。

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