いつもお世話になっております。東京コンサルティングファーム・マニラ支店の早川でございます。前回に引き続き、帰任される駐在員の方の個人所得税確定申告に関していただいたご質問を紹介いたします。異動の多くなるこの季節、ご参考になれば幸いです。
御質問②:
2020年4月1日付で異動しフィリピンから帰国する駐在員について、帰任前後のタイミングで確定申告を行うことにしました。ただしその際に発生した所得税は、日本本社で負担します。このとき、日本本社で負担した額も本人の「所得」とし、それにたいして納税しなければならないのでしょうか。
回答②:
はい。納税方法は二通りございます。1つ目は、フィリピンでの確定申告時に、日本本社で所得税分を負担することを加味して申告し、その負担分(=個人所得)に対する所得税も一緒に納付してしまうパターン。
2つ目は、フィリピンでは、日本本社負担する所得税(=個人所得)を申告せず、日本でその分を所得として申告し納付するパターンです。
日本本社で負担する給与や手当をフィリピンで申告するべきかというのはしばしば議題にあがりますが、フィリピン側税務局としては、「フィリピンでの労働に対する所得」はフィリピンで申告・納税せよ、という考えです。会社負担の所得税がこれにあたるのか否かですが、「手当」ととらえればあたるでしょう。
一方で、日本本社で負担する所得税をフィリピンに申告しなかったところで、フィリピン税務局はそれに気付くことがあるのかという疑問もございます。それに気づかないだろう、ということで申告しないという選択肢を取られる方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、どちらでも納付しないというのはリスクが高いです。例えば日本の国税局による税務調査では、そのような海外での個人所得税申告状況まで確認するということがございます。
ご参考になれば幸いです。
東京コンサルティングファーム・マニラ拠点
早川 桃代
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