こんにちは、
Tokyo Consulting Firmの大橋 聖也です。
【1分でわかるフィリピン・ベトナム進出のイロハ】
No.101<ASEAN成長率トップクラス!フィリピン/ベトナムの法制度の違いとは?!Part11>
今回は、駐在員の住居費用を会社負担とした場合の税務について、要点をまとめていきます。
<フィリピン>
フィリピン特有の税制の一つとして、管理職の従業員が会社から受け取る現物給付に対して課税される、付加給付税(Fringe Benefit Tax通称:FBT)というものがあります。
課税対象となる現物給付には、社宅や個人利用の車両、ドライバーやメイドさんの使用料、海外渡航費、教育補助費などが対象となります。
当該経済的利益を会社が負担する形をとるのか、それとも、経済的利益分を給与に上乗せして駐在員へ支払う形をとるのかによって、付加給付税と個人所得税のどちらが課されるのか変わってくることになるため、どちらが会社にとって税負担が少なくなるかは、シミュレーションが必要となります。
付加給付税の源泉徴収税額の算定にあたって、まず貨幣価値額を算定し、当該価値額を一定の割合(65%)で除し、課税標準を求めます。
そして、課税標準に所得税の最高税率である35%をかけたものが付加給付税の納税額となります。
EX)住宅費用50,000PHPで、会社が全額支払っている場合
*住宅のリース契約書が会社名義の場合には、貨幣価値額の50%のみが付加給付税の対象
- 貨幣価値額=50,000PHP×50%=25,000PHP
- 課税標準額=25,000PHP÷65%=38,461PHP
- 付加給付税=38,461PHP×35%=13,461PHP
申告に関しては、四半期末から10日以内、期末には翌年1月31日までに申告納付する必要があります。
<ベトナム>
ベトナムに出向中の駐在員における住宅費を会社が負担している場合、当該費用を現物給付とみなし、課税上限額計算のもと個人所得税の課税所得に加算されます。
課税額上限を超える住宅手当は、非課税扱いとなります。
課税上限額:グロス給与の15%と家賃実際支払額のいずれか小さい金額
*家賃実際支払額(会社が負担する水道光熱費やその他関連費用を含む住宅費用)
EX)グロス給与が月額20,000USD、住宅費用が月額2,000USDの場合
- グロス給与の15%=3,000USD
- グロス給与15%>家賃負担額2,000USD
- 課税所得:20,000USD+2,000USD=22,000USD
上記の適用条件として、住宅のリース契約書が会社名義かつ貸主が発行するインボイスが会社宛であることや労働(出向)契約書に住宅費用を会社が支払う旨を明記することが求められます。
その他、社用車/教育費/帰国費用といった項目ごとに課税・非課税や適用条件が通達で明記されているので注意が必要です。
申告に関しては、四半期末から30日以内、年次確定申告は通常暦年末から90日以内に申告納付する必要があります。
*以下の要件と満たす場合は月次申告義務が発生し、翌月20日までに申告納付。
- 給与支払元となるベトナム法人が設立から12ヵ月以上
- 前年売上高が500億VND超かつ納税者の月次個人所得税源泉徴収額が50百万VND 以上
以上、駐在員に対する現物給付に関する税務論点となります。
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Tokyo Consulting Firm – Philippine Branch
大橋 聖也
2012年、東京コンサルティンググループに入社。中小企業の発展、会計業界の生き残りを掛けて、社外CFOとして社長のビジョン実現をサポートする、ビジョナリーコンサルティングを立上げに奮闘。社長の抱えるお困り事解決すべく経営理念の策定・経営会議のファシリテート・財務分析等の支援を行う。2016年10月より、フィリピン支店の拠点長として世界に活躍のフィールドを拡げ、真の顧客貢献を目指す。