【フィリピン労働法解説⑤】Service charge~チップ~

労務

皆さんこんにちは。
東京コンサルティングファーム、フィリピン・セブ支店の上原です。

本日はフィリピンにおけるService charge、いわゆるチップに関して、フィリピン労働法の具体的な適用指針に関して紹介していきたいと思います。

 

フィリピンでの労働法はLabor codeとしてDOLEにより定められています。
※DOLE公式HPより閲覧可。

ただし、ご存知の通り法律とは基本的に普遍的な条項を定めるという目的から、具体的な解釈や実務レベルでの適用の際に判断が曖昧になることが多くございます。

そこで参照されたいのが、労働法の具体的なガイドラインを記載した解釈指針です。
今回は「HANDBOOK ON WORKERS’STATUTORY MONETARY BENEFITS」に記載のある、割増賃金に関して紹介していきたいと思います。

 

※下記よりダウンロード可能です。Handbookの25ページ以降に「Service charge」項目の記載がございます。
http://bwc.dole.gov.ph/downloads/handbook-on-workers-statutory-monetary-benefits-2

基本的な構成として、その言葉の定義、適用範囲、適用された場合の扱いの詳細、例外などが細かに記載されております。

Service chargeに関しては下記のような構成です。

  • A.共有
  • B.支払い
  • C.チップ

それでは一つ一つ解説していきたいと思います。

 

A. 共有

Service chargeとは、いわゆるチップのようなものと上述しましたが、厳密には異なります。

フィリピンにおいては、ホテル、レストラン、バー、ナイトクラブなどで、ほとんどの場合においてVAT(付加価値税/消費税)とは別に請求されるものです。
つまり、領収書やレシートにも記載されているのです。

その徴収された金額は、全体の85%を均等に雇用主と従業員に対して分配されます。
また、管理者の裁量により、残りの15%は、損失や破損、および管理職の従業員への分配にあてるため、管理者によって保持される場合もあります。

 

B. 支払

Service chargeを受け取る従業員は、その他産業の従業員と同様に2週間に一回、または1か月間に、16日の間隔をあけない期間で2回、上記に挙げた金額を受け取ることが出来ます。

また、Service chargeの徴収を撤廃した場合、過去12ヵ月間で受け取っていたService chargeの平均額が、従業員の基本給となることが定められています。

 

C. チップ

Service chargeは徴収していないが、いわゆるチップをプールしている場合についての記載があります。
チップの場合でも、上記に挙げたService chargeと同様の処理、管理をすることがここで定められています。

つまり、フィリピンにおいては、1人の従業員が頑張った分だけチップを得ることが出来る、といった出来高制ではなく、完全に均等で配分されるということです。

 

今週は以上です。

本ブログがフィリピンでご活躍される経営者の皆様、および今後進出をお考えの皆様の一助となれば幸いでございます。
来週もどうぞよろしくお願い致します。


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