現地法人以外の進出の形態-駐在員事務所-

法務

■ 駐在員事務所
[駐在員事務所の活動範囲]
駐在員事務所とは、主として情報収集や宣伝等の活動を行うことを目的として登録される事務所をいいます。駐在員事務所は本店とフィリピンの顧客との連絡事務所として活動します。駐在員事務所の機能は限られており、一般的には以下の機能が認められます。

・ 親会社の製品及びサービスの情報宣伝と販売促進
・ フィリピン市場調査の実施
・ フィリピンにおける情報収集
・ 輸出製品の品質管理やアフターサービス

駐在員事務所はフィリピンで行う事業活動において所得を得ること は禁じられています。注文の勧誘や売買契約の締結も許されていない ため、親会社は直接フィリピンの買い手に販売することとなります。
ただし、事務所の賃貸借や従業員の雇用といった、駐在員事務所の管理に関する事項については、契約を締結することができます。

また、駐在員事務所の利用方法で多いのが、製造業等の外国企業が現地の委託企業の品質管理を行う場合です。ビジネス慣習の違いや技術的な問題によって委託企業に対して品質管理を行う必要がある場 合、駐在員事務所を設置して現地から直接納期の管理、技術的な助言、検品を行うケースがあります。このような駐在員事務所の利用方法も外国企業の中で一般的となっています。

[駐在員事務所の資金]
駐在員事務所はその運営において所得が発生しないため、本店からの送金によって活動経費が賄われます。駐在員事務所の必要経費を賄うための送金は随時行うことができますが、設立の要件として、設立 時点で本店から3万USドル相当以上を送金しなければならず、この送金は 証券取引委員会(SEC)への登録申請前に行う必要があります。

[税務申告]
駐在員事務所は、所得を得ることは禁止されていますが、銀行預金の利息などが収益として計上されることもあります。仮に収益がまったく発生しない場合でも、 法人所得税の申告義務があるため注意が必 要です。
また、駐在員事務所は売上をあげる活動が禁止されているため、駐在員事務所がそのような活動等を行っていると疑われる、もしくはそう判断された場合には、 恒久的施設(PE:Permanent Establishment)とみなされ、みなし所得に対して課税される恐れがあります。

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