フィリピン実務のQ&A(Fringe Benefit Tax 「付加給付税」について)

税務

こんにちは、フィリピン駐在員の田辺です。

今週はフィリピン実務のQ&Aとして、Fringe Benefit Tax(付加給付税、以下FBT)について、お話をさせて頂きます。

Q. 日本人駐在員(管理的な立場にある従業員)のコンドミニアムの家賃や、ドライバーさんやメイドさん(以下、ドライバーさん等)の給与を、会社名義での支払いにすべきか従業員への課税手当として支給すべきか悩んでいるのですが、どちらがよいのでしょうか。

→コンドミニアムの家賃は会社名義での支払い、ドライバーさん等は日本人駐在員の方との個人契約にしてドライバーさん等の給与分を従業員への課税手当で支給するのがよいかと思います。

理由は、コンドミニアムの家賃はコンドミニアムの場所がオフィスから50メートル以内になければFBTの対象になりますが、社宅は課税上の評価額が家賃の50%になっているため、従業員の方へ課税手当としてコンドミニアム代を支給するより、会社がコンドミニアムを借り上げる場合の方が費用を抑えられるからです。

(例)コンドミニアムの家賃100,000PHPの場合
●会社がコンドミニアムを借り上げている場合の月次の税額(FBT)
(※FBTは四半期ごとに申告納付するので、月次の申告納付を行う必要はありません。)
100,000PHP×50÷68%×32%=23,529PHP
→会社が負担する費用は100,000PHP+23,529PHP=123,529PHP
●会社が100,000PHPの家賃を支払うために従業員に課税手当を支給した場合の月次の税額(個人所得税)
(100,000PHP÷68%)×32%(個人所得税の最高税率)=47,058PHP
→会社が負担する費用は100,000PHP÷68%=147,058PHP

ドライバーさんやメイドさんの場合に課税手当として支給したほうがいいという理由は、税金の額ではなく、会社のリスクになります。会社が従業員の方のためにドライバーさんやメイドさんに給料を支給する場合、会社とドライバーさんやメイドさんは雇用契約を結んでいるとみなされる可能性があります。

フィリピン労働法により6カ月を超えて雇用すればドライバーさん等は自動的に正社員雇用とみなされ、解雇を行う際には問題が発生するリスクが生じます。労働裁判になった際、とかく外国企業に不利な判決が出ることの多いフィリピンでは、これは大きなリスクになります。それゆえ、ドライバーさん等は従業員の方との個人契約を結んでもらう方がベターということになります。

(例)ドライバーさんやメイドさんの給料が10,000PHPの場合
●会社負担の場合の月次の税額(Fringe Benefit Tax)
10,000PHP÷68%×32%=4,705PHP
→会社が負担する費用は10,000PHP+4,705PHP=14,705PHP
●従業員への課税手当の場合
(10,000PHP÷68%)←課税手当の額×32%(個人所得税の最高税率)=4,705PHP
→会社が負担する費用は10,000PHP÷68%=14,705PHP

Fringe Benefit Taxについて、一番の節約はオフィスと社宅の距離を50メートル以内にすることです。こうすれば、FBTは課税されません。根拠条文はRevenue Regulations No.03-98になります。50メートルはなかなか厳しい要件ですが、これができれば一番の節約になります。

今週も、どうぞ宜しくお願い致します。

以上

関連記事

ページ上部へ戻る