こんにちは。
東京コンサルティングファームメキシコの吉田 幸弥です。
前回は貸借対照表(Balances Generales)の読み方について、解説してきました。
まだ、見てない方はリンクを貼り付けておきますので、ぜひ以下のリンクからご確認ください。
- ※「『貸借対照表(Balances Generales)』の理解から始めよ!~貸借対照表(Balances Generales)の構成~」
- ※「『貸借対照表(Balances Generales)』の読み方~基礎編~」
そして、今回のテーマは「『貸借対照表(Balances Generales)』の読み方~指標編~」についてです!
【はじめに】
前回まで説明したように、貸借対照表は大きく分けて5つに分類出来ます。
「流動資産(Activo Corriente)」「固定資産(Activo Fijo)」「流動負債(Pasivo Variable)」「固定負債(Pasivo Fijo)」「純資産(Patrimonio)」の5つです。
この5つの大きさを比べていくことによって、会社の財産状況を見極めていくのです。
また、前回は“流動比率”を中心に見てきましたが、
他にも貸借対照表にはいろんな指標が使われています。
「いろんな指標があって、なにをどのように見たらいいのかわからない」
という声をよく耳にします。
今回はよく使われる指標について、解説していきます。
【押さえておくべき5つの指標】
・自己資本比率
自己資本比率とは総資本に対する、返済の義務がない自己資本の比率を示す指標です。
この指標から、返済義務やそれに伴う金利負担などがどの程度あるのかを知ることができます。
自己資本比率 = 純資産/総資本 × 100
なお、総資本とは負債と純資産の合計額のことです。
自己資本比率は40~70%程度であればよいといわれています。
少なくとも30%は確保したいところです。
自己資本比率が低い場合、まずは利益をあげて利益余剰金を多く会社に残す必要があります。
つまり、配当ではなくなどの社外流出をせず、社内の余剰金として溜め込むということです。
これは会社としての安定性を出していく一番シンプルな方法です。
また、社内での利益をあまり生み出していない部門や固定資産を整理することで、
それに関わる負債も圧縮し、自己資本比率を高めることも出来ます。
メキシコの場合は特にインフレ調整や過小資本税制、為替の影響などがあるので、
ここの比率は注意して見ていく必要があります。
※インフレ調整や過小資本税制については下記リンクをご参照ください。
・流動比率
前回も解説しましたが、改めて解説致します。
流動比率とは流動資産と流動負債の割合を示す指標です。
流動負債とは1年以内に支払うべき負債で、流動資産は1年以内に換金可能な資産です。
そのため、流動比率は抱えている短期の負債を短期の資産で支払ったら
いくら手元に残るのかを表します。
流動比率 = 流動資産/流動負債 × 100
一般的に、200%以上だと「安心」、100%以上だと「適正」、100%以下だと「注意」と言われております。
流動比率が100%を切ってしまうときは
流動資産の中で回収できるものは早めに回収し、
流動負債の支払い期限を伸ばすなどして、資金繰りの改善が必要です。
・当座比率
当座比率とは、手元資金の安全性を示す流動比率よりも厳しくした指標です。
流動資産の中には棚卸資産(商品や材料などの在庫)などもあり資金化するのに
時間がかかるものも含まれています。
そこで流動資産の中でも現金化しやすい
現金、預金、売掛金、受取手形、短期保有の有価証券など、
すぐに換金できる資産(当座資産)だけを抜き出しています。
当座比率 = 当座資産/流動負債 × 100
一般的に、150%以上だと「かなり安心」、100%以上だと「安心」と言われております。
流動資産と同様、当座資産の中で回収できるものは早めに回収し、
流動負債の支払い期限を伸ばすなどして、資金繰りの改善が必要です。
・固定比率
固定比率とは、固定資産に対する投資額のうち、
どの程度までを自己資本で賄っているかという指標です。
企業の経営活動において製品の生産などを向上させるために設備投資は重要です。
多くの企業では設備などの固定資産の購入には借入金などで賄うことが一般的ですが、
自己資本で賄えている方が健全であると考えられています。
固定比率 = 固定資産/自己資本 × 100
一般的には、100%以下であることが望ましいとされています。
しかし、固定比率は業界によってかなり変わってきますので、
一概に比較できるものではありません。
「事業継続、拡大のために必要な投資をしているかどうか」という観点で見ていく必要があります。
なお、固定資産は『有形固定資産』『無形固定資産』『その他固定資産』の3つに別れているため、
どの固定資産が増えていて、どの固定資産が減っているかが大事になってきます。
また、固定比率をよくするためには、利益を生んでいないものは売却をして固定資産を圧縮、
資本の増資や内部留保を増やすことが大切です。
・固定長期適合率
固定長期適合率とは、長期間運用されることを前提とした固定資産を、
純資産と固定負債でどれくらいまかなえるかを表した指標です。
固定資産÷(純資産+固定負債)×100%
一般的には、80%程度が平均水準で、100%を超えると危険な状態と言われています。
100%を上回るということは、1年以内に返済しなければならない短期の資金で
長期資産への投資を行っていることになるので、短期資金の返済に支障をきたすことになります。
利益や規模の拡大のために、借入金で投資を積極的に行うことがありますが、
返済するまでに返済原資をつくらなければならないので、
借入額が事業規模に見合った状態か判断する必要があります。
【まとめ】
財務分析の指標にはいろんな指標がありますが、
貸借対照表の主な指標は上記の5つになります。
しかし、上記の5つだけではわからないこともあります。
例えば、流動比率が236%ある会社でも倒産してしまったケースがあります。
その理由については、次回解説していきたいと思いますが、
あくまでも今回紹介したのは、日々の記帳によって作成された
貸借対照表から読み取れる指標です。
つまり、日々の記帳が正しく行われていないと、
そもそも、指標が正しく計算されず、誤った判断をしてしまう可能性があります。
メキシコの会計は税務会計中心なので、メキシコローカルの会計事務所ですと、
こういった分析を行うために、会計を作っていない場合が多く、
科目もスペイン語なので、メキシコでは判断が難しくなってしまいがちです。
こういった誤った経営判断を行わないためにも、
メキシコローカルの会計事務所に任せている場合は、
任せっぱなしにせず、きちんとチェックしなければなりません。
なお、貸借対照表の基本やこの記事にある指標の使い方を理解していれば、
自社だけ出なく取引先の分析などにも大いに役立てることができます。
また、貸借対照表は数字だけでなく、図にすることにより、よりわかりやすく読むことが出来ます。
私たちではこの貸借対照表の部分を数字ではなく、
以下のような図にして、わかりやすくしたものを作成しております。
2期分の決算書があれば、簡単に作ることが出来ますので、
もしご興味があれば、ご連絡いただければと思います。
今回は以上となります。
また、次回もよろしくお願いします!
何かご不明点等ございましたら、お問合せフォームよりご連絡ください。
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株式会社東京コンサルティングファーム メキシコ拠点
吉田 幸弥
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