就業時間に関する判例

労務

お世話になっております。東京コンサルティングファームの藤井でございます。

本日は、労働法に関する判例のうち、就業時間に関する判例をご紹介いたします。

 

P社とその労働組合※は、就業時間に対する労働協定の改定の際、合意に至らず、組合側から裁判所に判断を求める訴えがあった。

 

<組合側の主張>

今までの就業規則では、HQ従業員は9時~17時半までの労働(8.5時間)、しかしプラント勤務の従業員は8時~17時までの労働(9時間)と決められていた。これに対し、この差の30分は年間で124時間もの差になるとし、不公平な差別をやめ統一することを望んだ。もしくは、この30分に対して、残業代を支払うよう会社に求めた。

 

<会社の主張>

・プラント勤務者が9時間というのは間違いである。「自由に使えない時間は労働時間としてカウントしない」という労働法60A(9)に基づき、プラント勤務者の昼休憩は労働時間にカウントしていないからである。

・本社はクアラルンプールに位置しているため、車で帰宅しやすいよう、17時半までとしている。また、HQ従業員と同じでなければならないという根拠がない。

・現状、HQ従業員の一週間あたりの労働時間は42.5時間。プラント勤務者の一週間あたりの労働時間は、昼食時間を抜いて40時間である。

 

<判決と裁判所の見解>

組合の要求を却下する。

会社の主張の通り、HQ従業員とプラント勤務者の労働時間が同じではなければならないという根拠がない。

組合側が、労働時間を同じにするだけの正当な理由がなければいけない。一番重要なのは、労働法や、その他の労働協定に違反していないかということであり、今回は労働法の範囲内であるため、組合側の主張は受け入れられない。

また、労働協定には、「就業時間は、会社が必要だと判断した際には、労働組合との合意の上変更することがある」と記されている。

 

<判決のポイント>

理由無く、本社側・工場側の就業時間を変えることは、差別・不平等とみなされ訴えられることがございます。しかし、今回用のように、労働法の範囲内での改定であり、その就業時間の設定に正当な背景がある場合には、問題ございません。

 

※労働組合(Trade Union)について

 労働組合法にて、従業員には労働組合を設立する権利が与えられている。7名以上の従業員が組合設立に合意すれば、組合は設立されたものとする。ストライキの呼びかけや参加はしてはならないが、会社との良好な労使関係を保つために設立され、従業員の代表として、労働協定の策定・改定に参加することができる。

 

 

Tokyo Consulting Firm Sdn. Bhd.

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藤井 大輔 (ふじい だいすけ)

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