マレーシアにおける有期雇用契約

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
東京コンサルティングファームの谷口で御座います。

皆さんは、マレーシアに“Fixed Term Contracts”と呼ばれる雇用形態があることをご存知でしょうか。

これは、いわゆる「有期雇用契約」と呼ばれるもので、マレーシア法において、雇用者は本雇用形態にて採用することを認められております。
通常、1~2年という期間でこの「有期雇用契約」を結びますが、本契約が失効した場合、つまり、契約期間を終了した場合、自動的に雇用解除となります。
本来の雇用契約との違いは、解雇に係る手続きや、被雇用者の意思による辞任の申し出、といった手順を踏むことなく雇用契約が解除される、という点です。
また、雇用者は必ずしも契約更新をする必要はなく、もし仮に被雇用者が契約を更新することを望まない場合には、取り下げることが可能でございます。

然しながら、1点、注意事項がございます。
それは、もし雇用主が「有期雇用契約」状態にある被雇用者の契約を継続して更新してしまうと、正規雇用の状態にあると認識されてしまう点です。

最も考えうるケースは、「有期雇用契約」を継続的に更新していた被雇用者が、解雇後に不当な解雇であると裁判所に主張した場合です。

雇用者の認識としては、「有期雇用契約」であるからいつ契約解除しても問題ないものと考えます。しかし、裁判にかけられた場合、「有期雇用契約」を何度も更新するという行為が恒久的な契約を結んでいると見なされる可能性があります。
仮に十分な理由があり、解雇するのであれば問題ありませんが、雇用主が理由を明らかにしなかった場合、労使関係法第20条(Industrial Relation Act, Section 20)に基づき、被雇用者には不当解雇として主張する権利が与えられます。

したがって、雇用主は「有期雇用契約」での雇用を決定する前に、必要性であるか否かを慎重に検討する必要があります。十分な理由がない場合は、適切な雇用契約の下で試用期間を経て被雇用者を雇用することをお勧めします。

以上となります。
本内容に限らず、労務関連のご質問が御座いましたら
いつでもお問い合わせ頂ければと存じます。

どうぞ引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。

東京コンサルティングファーム
谷口 翔悟

 

 

 

 

 

 

 

 

関連記事

PVPの取得方法について

不当解雇に関する判例

ページ上部へ戻る