こんにちは。
ムンバイの東海林舞(トウカイリンマイ)です。
インドの昇給は、インフレ率に合わせて毎年だいたい10%ずつ上昇しています。しかし、いくらインドの慣習とはいえ、役職の高い方も毎年同じように昇給してしまうと、賃金コストが年々膨らんでいくという不安や、仕事のパフォーマンスに関わらず昇給をしていくのはどうなのかという疑問をお持ちの日系企業の方々は多くいらっしゃると思います。そこで今回、2018年にJETROが提出した賃金実態調査報告書に基づいて、インドに進出している日系企業の昇給率、初任給、福利厚生制度について簡単に分析してみたいと思います。
1 昇給率
・2017年の実績によると、スタッフ10.4%、ワーカー12.1%の昇給率。
・2018年見込みは、スタッフ10.2%、ワーカー10.8%と下降する。
・調査した日系企業82.8%が「インフレ率」を参考に賃金水準を決定。
・2017年の業種別の昇給率(スタッフ)はあまり大きな差はなく、約8~12%である。
その中でも1番高かった業種は、自動車・自動車部品の販売業で12.2%、
1番低かった業種は、運輸・流通業で8.2%であった。
2 初任給
・2016年度と2017年度の初任給を比較すると全体的に減少傾向にある。
・2017年度の調査結果によると日系企業のローカル社員平均初任給は
初・中等教育終了者、約12.500ルピー
高等教育終了者、約16.300ルピー
大学卒業者、約28.200ルピー
大学院卒業者、約34.900ルピーとなっている。
・大学・大学院卒業者を雇用する際は、初任給が高いうえに毎年の昇給にともなって
上乗せされていく金額も大きいので、総賃金の計画立てが必要になる。
3 福利厚生制度
・スタッフ、ワーカー共に、「有給休暇」、「医療保険」はメジャーな
福利厚生制度ランキング1位、2位としての8割以上の企業で採用されている。
・スタッフには、それらに続いて「携帯電話支給」、「通信費支給・補助」
が6割以上の企業で採用されているのに対し、ワーカーには、
「通勤車・バス手配」、「食事手当」が6割以上の企業で採用されている。
以上になります。今回は、インドの日系企業の昇給率、そして初任給、福利厚生制度をJETROの調査結果に基づいて紹介致しました。最初に書きました「本当に毎年10%も昇給?」という問いに関してですが、ほとんどの日系企業は業種、州に関わらず約10%ずつ昇給しているようです。しかし、中には全社員一律で昇給するのではなく、人事評価制度を導入し、個人のパフォーマンスに応じて昇給率を変えている日系企業も増えています。評価制度を設ければ、昇給とともに社員の生産性や意欲も上げていくことができます。
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東海林 舞(トウカイリン マイ)
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参考文献
インド商工会・ジェトロ「第12回賃金実態調査報告」ジェトロ・ニューデリー、2018年7月19日