失業率
失業率は、1994年以降、年平均4.7%と低い水準を推移していましたが、2000年度以降は増加傾向に転じ、2017年7月~2018年6月は6.1%、都市部では7.8%、農村部では5.3%と1972~1973年以降最も高い水準となりました。(CIA“TheWorldFactbook”)。
失業率上昇の原因として、労働人口が毎年増え続けているほかに、産業が従来の第1次産業から、第2産業、第3次産業へと移行しつつある中で、職能の不一致が生じていることなどが挙げられます。
インドでは、1991年まで従来の社会主義的な労働機会の確保・拡大が効率より優先されていたため、労働者の権利意識が潜在的に高いと言えます。労働法も非常に労働者保護の強い傾向になっており、特に工場労働者の解雇が困難であることが特徴として挙げられます。
たとえば企業は、雇用の調整を行わなければならないことがあります。下請、請負、日雇労働者の活用、レイオフはもちろん、時には解雇により雇用の調整を行います。
しかしインドでは、労働争議法上、100人以上雇用する工場は、事前の州政府の承認なしに解雇することはできません(労働争議法25M条)。
ただし、1993~1994年で工場法に従って登録している工場のうち、100人以上雇用する事業所は11%にすぎず(Govt.ofIndia,AnnualSurveyofIndustries1993~1994:SummaryResultsforFactorySector,NewDelhi,1996)、残りの事業所においては、退職金の上乗せなど退職の条件を個別に合意する方法(VRS:VoluntaryRetirementScheme)を取る企業が多くなっているのも実態です。
同様に、採算性の低い工場の閉鎖についても、雇用規模100人以上の工場は閉鎖に伴う解雇時に政府の許可を必要としていますが(労働争議法25条)、閉鎖の届出の承認には時間を要することなどを理由として、違法な解雇が行われてきました。
日系企業においては、労務管理の誤りから現地スタッフとのトラブルを招くことのないような対応が求められます。