こんにちは。Gurgaon事務所の仁井いずみ(ニイ)です。インド人社員の離職問題については多くの企業の課題となっています。単に目先の離職率を抑えるだけではなく、会社にとって有益な社員を残すことが強い会社作りには欠かせません。
インド人が会社を辞める主要な理由としては、「この会社にいても得るものがないと感じている」ということがあげられます。得るものとは、給与やキャリアなどがあります。
ある大手コンサルティングファームで2012年に実施された「仕事に対する考え方アンケート」によると、インド人が転職を検討する理由として以下の理由が挙げられました。
・給与額の低さ(男性54%:女性53%)
・キャリアアップが見込めない(男性54%:女性49%)
給与額については予想の通りですが、実は金銭的な理由だけでなく、自分自身をより成長させたいという想いや、ビジネスマンとしての将来を考えた結果、転職をする人も同等数いるということが明らかとなりました。離職率を抑えるための対策の一つとして、「社員に対してキャリアを見せること」が有効であると考えられます。
社員に対してキャリアを見せる
インド人にとってのキャリアアップの一つは昇格です。それにもかかわらずインド人はどうすれば昇格できるのか具体的に考えていないようです。インド人の考えは「会社は数年たったら自分を昇格させるだろう、昇格できなければ転職しよう」といった具合です。しかしながら本来は自分の果たすべき役割以上の成果を残して初めて昇格できるものです。このような姿勢は社員本人の実力アップにつながり本当の意味のキャリアアップを果たすといえます。これをインド人にきちんと説明してあげることが有効です。
具体的には、職務分掌やコンピテンシーマップを使用して、各ポジションに求められている役割を明示することが第一ステップとなります。与えられた役割を果たさせ、次のポジションの役割を遂行することが自分たちの役割であることをしっかり理解させましょう。またインドでは年功序列制度の慣習があり、「マネージャーまでは一般的に3年ごとに昇格、それ以上の役職では5年ごとに昇格」といった社内ルールを持つ会社が多くあります。そのため、MBOや評価フィードバックのタイミングで、昇格のタイムラインを意識させ、昇格基準を達成できるように社員をフォローしていくことも求められます。
次回はインド人社員に伝えるべき「真のキャリアアップ」についてみていきます。
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