インドへの進出形態における留意点-駐在員事務所を設けてビジネスを行う場合

税務

拠点を設置してビジネスを行う場合

インド国内に活動拠点を設けてビジネス展開を行っていく場合における、それぞれの進出形態ごとに関連する税務規定を検証していきます。

駐在員事務所を設けて活動する場合

駐在員事務所を設けて活動を行う場合は、インドにおける法人所得税は発生せず、通常費用のみの計上が行われます。また営業活動も不可であるため、現地法人が被るような大きな税務リスクが生じることはないと考えられます。
ただし、納税が発生しない場合であっても、毎決算期ごとに税務申告書を作成し、法定期限までに提出する必要があります。また、駐在員事務所で発生した損益については、会計上、日本の損益計算に取り込まれる形になりますので、日本側においては駐在員事務所で発生した損益を合算した後の利益に基づき、法人税額の計算を行います。
しかし、この駐在員事務所がPEと認定される場合には、インドに営業拠点(親会社の支店)があるものとみなされ、インドにおいて外国法人として所得課税が行われることになります。
また外国法人の駐在員事務所では、営業活動ができないことはすでに述べましたが、現地駐在員を日本から派遣する場合、日本と現地国における給与負担の問題、現地における個人所得税の源泉納付などの納税義務が発生します。また、一定の取引(コミッション、会計事務所などへの専門サービス)については、その代金の支払時に源泉所得税を徴収し、支払者(駐在員事務所側)が毎月納税をすることが義務付けられています。進出して間もない頃は、源泉徴収が必要な支払の際に、源泉徴収をせずに請求額の全額を支払ってしまう例が多々見られます。このような場合、同じ会計年度内であれば、次回の支払時に未調整分を調整することが現地では一般的な対応となります。
一方で、誤って取引先に2重支払い、かつ源泉徴収を行っている場合においても同じ会計年度内であれば次回の取引時の支払い時に調整することが可能です。
源泉徴収の納税遅延の場合は、遅延利息として月利1.5%(年利18%)が課税されます。また、外国法人の駐在員事務所は、外国法人の一部とみなされるため、海外からインド国内への支払に際して、支払国側で源泉徴収を行わなければいけないことがあります。
日本の例で言うと、日本企業がインド駐在員事務所にかかる会計事務所等へのコンサルティング費用を支払った場合に、コンサルティングの内容によっては租税条約上の「技術役務提供」という事で日本側で源泉徴収が必要な場合があります。また、その際の源泉徴収税率についても、国内法が適用される場合と、租税条約による軽減税率が適用される場合があり、軽減税率を適用する場合には、租税条約届出書を所管税務署に提出しなければいけません。

駐在員事務所は、営業活動が禁止されているため、銀行預金にかかる利息収入などは発生しますが、基本的に営業活動による所得は発生しないと考えられます。従って、現地国における活動費用のみが発生するため、この場合にはインドにおける法人所得税額は発生せず、大きな税務リスクが生じることはないと考えられます。

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