日本人駐在者の給与負担問題について

税務

みなさん、どうもこんにちは。増田です。
7月も終わり、日本はまさに夏真っ盛りかと思います。
インドでは、先週まで天気がくずれる日が多く(停電もありましたが……)、週末近くになり、ようやく晴れ間が見えるようになってきました。雨が降ると、日本のように下水が整備されていないため、すぐに道路に水たまりができてしまうため大変です。

現在、挨拶回りも兼ねてインドのお客様に訪問させていただいておりますが、早速ある会社様から、新たな駐在者の給与負担についてご相談をいただきました。

今までも、日本で同様の問題についてご相談いただく機会がありましたが、今回は日本側の取締役の方がインドに赴任されるという事で、一般の従業員の方との違いを再確認しました。基本的に、出向時の給与については出向先が負担するというのが大前提となりますが、特にアジア諸国のように、日本との給与水準に大きな違いがある場合には、現地側で全て負担させることが困難なケースがあります。今回のケースでも、インド法人が全て負担というのは難しく、基本的に日本側で負担をするという話にはなりましたが、ここで問題になってくるのが、日本で負担した給与が税務上「費用として認められるか?(寄附金として見られないか?)」という点です。
①一般の従業員の場合
⇒日本と現地との給与水準の格差部分につき、「給与格差補填金」として日本で支給する場合には、損金算入が認められる(ただし、「現地の給与水準」が妥当と説明できなければ、当然否認されてしまいます)。
②取締役の場合
⇒役員の場合は、従業員の場合と異なり、委任契約に基づき報酬決定を行っている。そのため、そもそも格差補填という考え方自体が存在しない。

今回は②のケースであり、日本から出向という形であるため、日本側では常勤⇒非常勤となり職務形態が大きく変動するため、普通に考えるとインド赴任後に日本での従前の報酬額と同額を支給するというのは、なかなか日本の税務当局に対して説明が難しいところです(職務形態が変わったとしても、委任内容・職務遂行に一切変更が無い、という点を根拠を示して説明する必要があると考えられます)。

さらに、日本からインドなどのアジア諸国に出向した場合、よほど所得税率の低い国以外では、日本よりも税負担が大きくなり、日本と同じ給与額だと手取り額が減ってしまうケースもありますので、特に海外駐在員の給与負担割合を決定する際には、両国間の負担の妥当性、税務問題について事前に検討しておくことが重要です。

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