リバースイノベーションとインド

駐在員の今西です。

 

インドでのインフラの件を前回に書かせて頂きました。おかげさまで先週から全く停電や断水もなく、順調に過ごせています。

 

その中で、思い出した事がありますので今回はそれについて記載したいと思います。それは「日本企業は技術はあるけど、それぞれの地域のそれぞれの事情を踏まえた製品を開発するのは下手だ」ということを、ある日本人の方からお伺いしたことです。例えば、インドのように電圧が一定しないレベルの国に、日本の技術をそのまま持ち込んだとしてもうまく使えないケースもあります。また、そもそも高価で現地の消費者にはなかなか手が出ないという場合もあります。

 

その中でふっと浮かんだ言葉が「リバースイノベーション」です。これはGEのイメルト会長が提唱した概念で、発展途上国や新興国向けに開発された技術を先進国でも展開するというものです。発展途上国や新興国のそれぞれのインフラ、所得水準等に合わせて安価で質の高い製品を開発することが出来れば、それは先進国向けの製品に応用可能です。応用可能なだけではなく、コスト削減やすでにある製品やサービスの新しい利用方法の気づきが得られます。

 

実際のインドでのケースではドイツのボッシュ社が小型車「ナノ」向けに開発した安価な電子制御装置を日本やアメリカで展開することを決定しています。それ以外にもGEがインドで開発した簡易型心電図も他の先進国でも通常よりも安価に販売しています。

 

ただ、私の不勉強かも知れませんが、リバースイノベーションに該当する事例を日本企業で見たことはありません。そこで、冒頭の話しに戻るわけです。インドのインフラ状況や技術水準、所得水準に合わせた製品を開発する、あるいは今ある製品をカスタマイズする過程で、他の先進国のマーケットでも応用可能な新しい技術や利用法が見つかる可能性もあります。そこを狙うことも海外進出の一つのメリットだと思います。もちろん言うは易し、行うは難しだと思いますが、リバースイノベーションは今後の一つのキーワードになりうる重要な概念だと思います。

 

以上です。

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