皆さま、こんにちは。
デリー拠点の古川でございます。
コロナ後に向けた人事労務戦略ということで、インドにおける労働法と関連させながら、インドにおける役員賠償責任保険をトピックにお話しさせていただきます。
インドでビジネスを行うにあたり、適用される法令、会社法、税法、特定の部門法、および地方自治体によって作成された規定を遵守する必要があります。
インドにおける法令やコンプライアンスには複雑な部分もあるなかでこのような対応は非常に重要となっております。コンプライアンスの複雑さの増大により、個人的な罰則が科せられることがあります。
取締役、CEOおよびCFOを罰金やその他のペナルティから保護するために、会社は主要な管理者を補償するために会社とそのような主要管理者との間で補償契約を締結することも可能です。
このような補償により取締役はさまざまな法令やそれに伴う罰則を心配することなく、本来の業務に取り掛かることができるのではないでしょうか。
以下は、不履行があった際に、取締役が負う一般的な責任/義務の一例になります。
- 1961年所得税法セクション234Eに基づき、TDS/TCS申告遅延の場合には200ルピー/日の遅延手数料が発生し、セクション271Hでは、TDS/TCS申告ミスがあった場合には 10,000~1,00,000ルピーのペナルティが発生します。
- 2013年会社法第94条に基づき、登録簿などの必要書類を保管していなかった場合、最大10万ルピーを条件として、1,000ルピー/日のペナルティが課されることとなります。また第99条では、会社の年次株主総会(AGM)の開催に関して不履行が生じた場合、取締役は10万ルピーに及ぶ罰金を科せられ、継続的な不履行があると判断された場合にはさらに5,000ルピー/日のペナルティが科せられます。
- 契約違反が発生した場合、取締役は刑事責任を問われる可能性がございます。
役員賠償責任保険(Directors & Officers insurance : D&O)は、会社役員個人の訴訟リスクをカバーする保険であり、補償契約により、会社自体が取締役、CEO、およびCFOに代わって、罰則を支払う義務を負い、取締役、CEO、およびCFOを保護することが目的とされております。
補償契約は会社の義務ではありませんが、取締役、CEO、CFOを将来のリスクから保護するために、このような契約を締結することを推奨しております。
この役員賠償責任保険(D&O)は標準になりつつあり、発生する可能性のあるリスクに対する責任を企業が制限できるようになっています。
また、日本に居住する非常勤取締役の場合は、このような潜在的リスクを認識されていない可能性がございます。
特にインドパートナーに現地オペレーションを一任している合弁会社の取締役の方にとっては注意すべき事項と言えます。
弊社では、契約書の作成並びにレビューを行っておりますので、ご興味がある場合は、過去の事例も交えて無料相談させて頂きますので、お気軽にお問い合わせください。
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東京コンサルティングファーム・バンガロール支社
古川泰加(ふるかわやすか)
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