成長ステージに応じた対応④ 成熟期

労務

 こんにちは。Gurgaon事務所の仁井いずみ(ニイ)です。各成長ステージで対応すべき管理体制についてご紹介しています。今週は成熟期です。

成熟期
<ビジネス状況>
ビジネスがトレンドに乗り、着実な業績アップができている。
<管理部門の状況>
会計・税務部門では内製化が完了している。社員の増加を抑え効率性を上げることが課題となることも。
人事関係では人事制度はあるものの形骸化している。そのためマネージャーが会社の理念や役割(業務管理・戦略構築・社員教育)を認識していないという問題が起きている。

 会社の成長に伴い各部門が拡大し数年勤めるマネージャーがいるような会社です。業務は回っていますが一見無駄に社員が多いのではと感じることも多くなる時期です。

 会計・税務については内製化されていますが、マネージャーが業務を行ってしまい部下は単純作業のみというケースが多くみられます。マネージャーが退職する事態になった場合に業務が回らないというリスクが発生します。また業務効率が悪く、総社員数や取引量の割に会計スタッフが多いということもよくあります。業務の洗い出しを行うとともにスタッフレベルの社員に業務を割り振る、ジョブローテーションを通して業務が一点に集中しないようにするといった工夫が必要です。

 人事関係については、人事制度がすでに整っているケースが多いでしょう。職務分掌、評価制度、目標管理制度など運用が進んでいる一方で、社員の成長が感じられず、マネージャーに役不足を感じている企業が多いです。原因は本社の人事制度をそのまま導入していて実質形骸化していることが挙げられます。

 前回のブログで述べたように、インド人社員を教育するためのツールが人事制度であるべきであり、そのためには各制度がつながりを持つことが重要です。

役割の明確化
 役職ごとに役割を明確にし、それを全うすることで社員も個人も成長できます。役割を明確にしたものが職務分掌となりますが、内容を見てみるとスタッフレベルもマネージャーも同じ業務内容が書かれているものをよく見ます。本来マネージャーは部下の業務全ての責任を持ち、チェック機能を果たすべきです。役割が明確にされず社員にもそれが伝わっていないためマネージャーがチェックではなく業務を行ってしまっているということがよく起きています。

公正な評価
 社員の役割とは業績をあげること、会社の顔としてあるべき態度で社員や顧客に接することなどがあります。役職が上がるほど求められる役割は大きくなります。全うすべき役割に対して残した成果の達成度を測るものが評価制度となります。まず評価項目が「果たすべき役割を測るもの」といえるものかどうか確認する必要があります。次に評価結果に注目します。インド人は自己評価が非常に高いというのは有名なことです。それに対して、正しい認識を与え教育に結び付けることがマネージャーはじめ経営陣の役割といえます。お互いの認識をそろえないと、どんなに注意をしても部下は聞く耳を持ちません。現状はそもそもマネージャーが自分の好き嫌いで部下の評価をしているケースがよく起きています。評価の方法や考え方についてマネージャーを教育する必要があります。

自立させる教育
 社員は自分の役割を全うすると共に会社目標の達成を求められています。社員が自ら会社目標達成のために自分の目標を設定しプランを立て進捗管理をすること、これらを促すための仕組みが目標管理制度です。インド人の場合は設定した目標が会社目標達成につながっていないことが多く、計画を立て期日内に完結させることが不得意な人が多いです。目標や進捗のチェックはまめに行う必要があります。多くの企業が半年に一度の目標管理レビューを行っていますが、頻度としては少ないように思います。

 一度運用中の人事制度を細かく見直してみましょう。

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