~インドの投資環境・経済環境について①~

皆さん、こんにちは。

チェンナイ駐在員の中村です。

 

今週から数週に渡って、インドに新規進出される企業を対象に、インドの投資環境と経済環境について執筆していこうと思います。今週はインドの宗教がビジネスに与える影響です。

 

インドではカースト制度が有名ですね。インドで生まれた独特の社会的身分制度のことで、インドでは「ヴァルナ」「ジャーティ」と呼ばれています。ヴァルナには4つの階級が存在し、上からバラモン、クシャトリヤ、ヴァイシャ、シュードラに分けられます。そしてジャーティはカーストをさらにそれぞれの職業で細分化したものです。

 

1950年のインド憲法でカーストによる差別は禁止されていますが、インド人の中では未だに少なからず階級意識が残っています。

 

例えば、会社の人事マネージャーが自分と同じカースト出身の候補者を優先的に採用することもあります。

また、カースト制度が暴動に発展したケースもあります。2012年の7月にマルチ・スズキで工員が班長に暴力をふるい、職務停止処分を受けたことに会社の労働組合が反発して、暴動が発生しました。

暴徒となった労働組合員は工場と事務所に放火し、会社の幹部(うち2名は日本人管理者)や警察員を含む100名が怪我を負い、人事部長だったインド人が1名死亡しました。

結果として会社側は500名の正規労働者、2000名の請負労働者を解雇、1か月の工場稼働停止にしました。

生産停止による損失は230億円にも上ったと算定されています。

これはインド居住日系企業で発生した暴動の中で一番大きなものになりますが、事の発端となったのは工員が被差別カースト出身であったことを班長が侮辱したことだと言われています。

 

私が普段インド人社員と働くうえで、カーストを意識させられたことはありませんが、インド人同士では完全に意識していないとは言えないようです。現に今でも結婚の際には同じカーストから親が見合い相手を探してくる習慣が残っています。

 

また、このカースト制度ゆえに逆差別が起こっているという点も無視はできないでしょう。

被差別カーストは指定カースト(SC)、少数民族は指定部族(ST)、社会的に阻害されたカーストをその他更新階級(OBC)として、公務員採用や大学進学で優先枠や奨学金を設けています。なお、SCはインド総人口のおよそ17%、OBCが40%と言われています。

 

なお、カーストは苗字からある程度判断できたので、苗字を変えるインド人も少なくないそうです。

2010年頃は貧民カーストから抜け出すために苗字を変えるインド人が多かったようですが、現在では上記の逆差別故にわざと貧民カーストの苗字に変更する人もいるようです。

 

 

本日は以上です。

 

 

Tokyo Consulting Firm Private Limited

チェンナイマネージャー

中村 匠吾(なかむら しょうご)

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