こんにちは、TCFインド・バンガロール駐在員の岩城です。
雨季も終わり・・・のはずですが、バンガロールではこの週末も雨季の終わりを惜しむかの様に、雷を伴う激しい雨が降りました。日本も少しずつ涼しくなってきた頃ですが、バンガロールも季節の変わり目の様です。皆様、体調にはくれぐれもお気をつけてお過ごし下さい。
さて、今回は先週実施されたインドの追加利下げについてまとめてみました。
インド準備銀行(RBI)は9月29日、レポ金利を7.25%から6.75%へ50べーシスポイント(0.5%)引き下げました。これは今年4度目の金利引き下げであり、年初からの利下げ幅は合計1.25%となりました。6.75%という金利水準は過去4年半での最低水準となります。
今更ですが、そもそもレポ金利とは中央銀行が一般の金融機関(市中の商業銀行)へお金を貸し出す際に適用される金利であり、政策金利と同義です。全ての貸し出し金利の基準となる金利であり、この金利を中央銀行が操作する事で流通する資金の量が変わり、景気を左右する事が出来ます。金利を下げるという事は一般的に景気を刺激し、上向きにする効果がありますが、特に今回は市場の予想を超えた利下げ幅となりました。
ウォール・ストリート・ジャーナルがエコノミスト13人を対象に実施していた事前調査では、11人が利下げを予想していたものの、利下げ幅は0.25%でした。市場ではサプライズと受け止められ、29日のインド株式市場では、ムンバイ証券取引所のSENSEX指数が前日比1.29%安の25,287.33から急反発し、25,778.66(+161.82pt、+0.63%) で取引を終了しました。又同調査において、エコノミスト8人が今年度中更に0.25%の利下げがあると予想しています。
これまでインド経済は、米国や中国と並んで世界経済を牽引してきましたが、直近はデフレ圧力が強まり、利下げを望む声が高まっていました。
≪直近の経済指標の動向≫
・消費者物価指数の下落
原油安等の商品市況の下落を受けて、物価の上昇に歯止めがかかってきています。
8月消費者物価指数(CPI速報値)は前年同月と比べ3.66%の上昇で、7月の3.69%に続き2か月連続3%台となりました。今年1-6月は5%前後で推移しておりましたので、減速感が否めない事と、2016年1月のRBI目標値が6%である事からも、現状はかなり低い水準であると言えます。
・GDP成長率の鈍化
6月までのGDP成長率は7%のプラスでしたが、前四半期を下回り、経済界からは利下げを望む声が強まっていました。
2014年のインドGDP成長率は7.3%、2015年予測は7.8%でしたが、7.4%に引き下げられました。年始の段階では2015年度成長率は8%を超えると期待されていましたが、インド及び中国の成長見通しの軟化から、アジア開発銀行が9月に発表した「アジア経済見通し2015年改訂版」においても、アジア途上国経済全体のGDP成長率は6.3%から5.8%へ引き下げられました。
・PMI製造業指数の前月比微減
9月の日経インドPMI製造業は景気判断基準の50は上回ったものの、51.2と前月の52.3から低下しました。
RBIのラジャン総裁は同日声明を発表し、「金利の引き下げは景気を刺激するためのもの」とし、今後も物価動向に気配りしながらも緩和の流れは続きそうです。いずれにせよインドの経済活動は依然として弱い状況ですが、更なる緩和政策により下支えされ、しっかり盛り返してほしいものです。
東京コンサルティングファーム
インド・バンガロール支店
マネージャー
岩城 有香
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