皆さん、こんにちは。
インド及びインド周辺国統括の小谷野勝幸です。
2014年に入り再び外資系総合小売業がインドへ進出する場合に直面する問題が浮き彫りとなりました。
現状では2014年5月に総選挙を控えていますが、多くの外資系企業が集中する首都デリーにおける少数与党「庶民党(アアム・アドミ・パーティー:AAP)」が、外資系総合小売りの首都圏内での進出(出店)を認可しない旨を明らかにしています。
2013年下半期に外資系総合小売業が進出する際の規制が緩和されて以降、大手小売業であるTesco(テスコ)やWalmart(ウォルマート、現在では西友の親会社ですね)を始め徐々に計画を立て始めている中での非常に厳しい政治的影響を及ぼしています。
こういった外資系総合小売業は、現地企業との合弁をおこなわなければインド進出はそもそも困難であり、仮に長い話し合いのすえ合弁を成功させインドへ進出した後も製品調達については地場の小規模企業から全製品調達額の30%にあたる部分を調達することが義務づけられています。
特に外資系総合小売業が問題としていることが、下記2点となります。
1.出店に関しては、その都市を管理する州政府の認可が別途必要であること。
2.フランチャイズ展開が認められていないこと。
まずは、1の「出店に関しては、その都市を管理する州政府の認可が別途必要であること。」ですが、会社登記が承認されたにもかかわらず実際に出店する前に州政府の認可が別途必要だということです。
そもそも国が進出及び事業を認めているにもかかわらず、最終的な判断は各州政府レベルに残したということですね。インドでは、一州が日本と同程度の面積をもつ場合もあるため、分からないこともないですが。
インドでは、首都圏でさえも多くの個人商店や出店をみることが多々あり、外資系総合小売業の出店を認可すること自体がそういった個人事業店の淘汰につながるため大部分の州が反対を表明し、残りは検討中としています。
今回は、デリーの庶民党が反対したことによって最も利益が上がる首都圏での出店がほぼ不可能との見通しとなっています。
そして、2の「フランチャイズ展開が認められていないこと。」は、外資系総合小売企業がインド出店へ成功した後の大きな課題の一つとなっています。
現状では、外資系総合小売企業が運営している小売店は、その同企業により保有し運営されなければならないため、フランチャイズ方式を行えず、日本や諸外国での経営運営よりも大幅に利益確保が困難になることが予想されます。
次回は、引き続き庶民党の簡単な紹介と2014年5月の選挙に向けた最近の情勢を解説していきます。
以上
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東京コンサルティングファーム
インド国 取締役
小谷野 勝幸
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