インドの監査制度について②

会計

インド・グルガオン駐在員の豊田です。

 

今回は、前回に引き続きインドの監査制度についてお話ししたいと思います。

 

前回では、インドの監査制度の概要についてご説明しました。今回は、CARO(Company Audit Report Oder),2003 について説明したいと思います。

 

インドの外国会社を含む全ての会社は、Company Act 1956 に基づき会計監査(法定監査:Statutory Audit)を受けなければならない事は前回述べました。これに加えて、公開会社と以下の要件に当てはまる非公開会社については、CARO(Company Audit Report Oder),2003において監査項目が規定されており、会計監査報告書を作成の上、MCA(Ministry of Corporation Affairs)に報告する義務があります。

 

CARO,2003が適用になる非公開会社

(a)    資本金と準備金の合計が5,000,00ルピーを超える場合

(b)    借入金が、2,500,000ルピーを超える場合

(c)    売上高が、50,000,000ルピーを超える場合

 

但し、以下の企業は対象外となります。

1.銀行

2.保険会社

 

CARO,2003で規定されている監査項目】

報告書に記載されるべき主要項目は以下の通りです。

 

1)・固定資産が正しく計上、検査されているか

 ・固定資産の一部が減損した場合、今後の企業活動に影響を与えるか

2)・備品が企業規模や業種に応じて適正かつ定期的に検査されているか

 ・備品が適切に記録され、在庫に差異があった場合に適切な会計処理がなされているか

3)・借入金の元金・利息の支払いは適正か

 ・期限を過ぎた支払額が100,000ルピーを超えている場合、適切な対処が取られているか

4)・企業の規模や業種に合わせた適切な内部統制機能があるか

 ・内部統制機能に継続的な欠陥がないか

5)・取引の内、Directorが利害関係を有するものが記録されているか

 ・これらの取引が適正価格で取引されているか

6)・公共機関からの借入を行った場合、RBIReserve Bank of Indi)等の規則を順守しているか

7)「公開会社」、「資本金と準備金の合計が5,000,000ルピーを超える会社」または「直前3期の会計期間の売上の平均が50,000,000ルピーを超える会社」については、その規模や業種に応じて適切な内部監査機能を有しているか

8)原価の記録が修正された場合、それらが適切に計上され記録されているか

9)PFESI、所得税等を定期的に支払っているか

10)年度末の累積損失が企業価値の50%以上になっていないか、またそのような現金の支出があったか

11)各種税金の返済を履行していない場合、それがいつ履行されるか

12)借金や前払金の担保や保証に関する書類や記録が保管されているか

13)chit fundに関する規則が遵守されているか

14)株や債券の取引を行っている場合は、その取引の記録が適切に記録されているか

15)借金の際に、保証を差し出している場合、その期間や条件が企業のとって不利なものでないか

16)既存の借金の為に新たな借り入れがされているか

17)短期の借入が長期に借り換えされていないか、反対に、長期の借入が短期に借り換えされていないか

18)特定の団体や会社に対して、優先的に株の割り当てを行った場合、その金額が企業のとって不利なものでないか

19)債権毎に担保が設定されているか

20)公募債の管理状況が公開されているか

21)不正があった場合、その内容と規模が明示されているか

 

 

 

 

 

 

 

 

【備考】

上述した質問への回答が、不適切または不適格なものであった場合、監査人はその旨を報告書に記述しなければならない。

 

また、上述の質問に関し、適切な回答を得ることができない場合、監査人はその旨および何故できないのかを、報告書に添えて提出しなければならない。

 

 

 

以上

 

Tokyo Consulting Firm (India)

グルガオン駐在員

豊田 英孝

 

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